精選版 日本国語大辞典 「貰」の意味・読み・例文・類語
もらいもらひ【貰】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「もらう(貰)」の連用形の名詞化 )
- ① 他から金品などを受けること。また、そのもの。客から受ける祝儀や、乞食が受ける施し物の類。
- [初出の実例]「同行三人のぬけ参り。もらいもらいのなが道中」(出典:咄本・軽口福徳利(1753)四)
- ② もめごとや争いごとなどで決着のつきにくい時、両者の間にはいってその処置をまかせてもらうこと。また、相撲などで勝負がつかない場合、勝ち負けを決めないままにすること。あずかり。
- [初出の実例]「かりがねすこしのこりけり〈惟中〉 秋の風行事がもらひに成ました〈惟中〉 町にをゐてもいらぬ露霜〈西鶴〉」(出典:俳諧・太郎五百韻(1679))
- ③ 遊里などで、他の座敷へ出ている遊女や芸者などを、途中で自分の所へ呼ぶこと。もらいびき。
- [初出の実例]「月ばかり上手によむ歌人のきりゃう有。こればかりはもはや二町まちからのもらひにしたひ物じゃ」(出典:評判記・野郎大仏師(1667‐68)玉村吉彌)
- ④ 乞食。物もらい。おもらい。
- ⑤ 芝居で、その場面を省略すること。
- [初出の実例]「ハハア茶屋場は貰(モレヘ)になったと見えた」(出典:滑稽本・客者評判記(1811)下)
- ⑥ 清算取引で、損をした方が、利益をあげた相手方に妥協を申し込み、合意的に解合(とけあい)をし、建玉(たてぎょく)を申し受けること。まだ決済がすまないうちに、少しでも損失を少なくしようとして、相手方に支払の延期や変更を申し込むこと。また、その建玉。
- ⑦ 取引相場で、他人の売買玉を譲り受けること。また、その売買玉。