貴徳(読み)キトク

デジタル大辞泉 「貴徳」の意味・読み・例文・類語

きとく【貴徳】

雅楽舞曲高麗楽こまがく高麗壱越いちこつ調の中曲一人舞で走舞はしりまいに属す。仮面をつけ、ほこを持って勇壮に舞う。番舞つがいまい散手さんじゅ

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精選版 日本国語大辞典 「貴徳」の意味・読み・例文・類語

きとく【貴徳】

  1. 貴徳〈舞楽図譜 宮内庁書陵部蔵〉
    貴徳〈舞楽図譜 宮内庁書陵部蔵〉
  2. 雅楽。右方高麗楽壱越(いちこつ)調で、舞は破(拍子一〇)と急(拍子一六)から成り、一人で舞う。
    1. [初出の実例]「舞童等相分南北着座〈略〉貴徳〈万歳納蘇利〈禅王 幸王 豆王〉」(出典吾妻鏡‐文永二年(1265)三月四日)

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改訂新版 世界大百科事典 「貴徳」の意味・わかりやすい解説

貴徳 (きとく)

雅楽,舞楽曲名高麗(こま)楽にふくまれ高麗壱越(いちこつ)調。一人舞で武(ぶ)ノ舞。帰徳とも書き,貴徳侯帰徳隻ともいう。番舞(つがいまい)は《散手》。裲襠(りようとう)装束に竜甲(たつかぶと),面(鯉口と人面の2種ある)をつけ,太刀と鉾を持って舞う。漢を封じた匈奴の王が凱旋して帰徳侯になったという故事にもとづく。演奏次第は,《高麗小乱声(こらんじよう)》-《高麗乱声》(登場,出手(ずるて))-《小音取(こねとり)》-破(四拍子)-急(唐拍子)。破と急が当曲舞。急の章のうちに舞人は退場する。ときとして,番子(ばんこ)という従者が2人,鉾を持って舞台の下で舞人に受け渡しをすることもある。童舞(どうぶ)としても舞われる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「貴徳」の意味・わかりやすい解説

貴徳
きとく

舞楽の曲名。右方の舞で,武の舞の代表曲の一つ。1人舞。前奏曲として「高麗小乱声 (こまこらんじょう) 」があったあと,「高麗乱声」によって舞人が登台,「小音取 (こねとり) 」の前奏を経て,高麗壱越 (いちこつ) 調の当曲 (中心曲) の「破」と「急」の章とが奏されて,舞が舞われる。舞人は裲襠 (りょうとう。うちかけ) 装束で,面をつけるがその面には「鯉口」と「人面」とがあり,太刀を帯び,鉾を持って舞う。漢代の肅慎 (しゅくしん) 国の帰徳侯の故事によった舞ともいわれ,「帰徳」とも書かれる。

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