賤機帯(読み)シズハタオビ

デジタル大辞泉 「賤機帯」の意味・読み・例文・類語

しずはたおび〔しづはたおび〕【賤機帯】

歌舞伎舞踊
一中節。本名題峰雲おのえのくも賤機帯」。壕越二三治作詩、宮崎忠五郎作曲。宝暦元年(1751)江戸森田座初演謡曲の「隅田川」「班女はんじょ」「桜川」に取材したもの。
長唄。本名題「八重霞賤機帯」。歌詞・曲ともにを借りて、10世杵屋六左衛門が作曲。文政11年(1828)山王祭踊り屋台で発表。

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精選版 日本国語大辞典 「賤機帯」の意味・読み・例文・類語

しずはたおびしづはたおび【賤機帯】

  1. [ 一 ] 一中節。壕越二三治(ほりこしにそうじ)作詞。宮崎忠五郎作曲。村上常五郎振付。本名題「尾上の雲賤機帯」。宝暦元年(一七五一)江戸森田座初演。八雲という遊女あがりの女が子を失って隅田川のほとりを狂い歩くと、三太郎という男がからかう。能「班女(はんじょ)」「桜川」「隅田川」を合わせた趣向
  2. [ 二 ] 長唄。本名題「八重霞賤機帯」。文政一一年(一八二八)一〇世杵屋六左衛門が山王祭の踊り屋台用に作曲。内容は[ 一 ]を改作したもので、狂女と船頭の踊り。歌舞伎では明治二五年(一八九二)東京浅草鳥越座初演。

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改訂新版 世界大百科事典 「賤機帯」の意味・わかりやすい解説

賤機帯 (しずはたおび)

歌舞伎舞踊。長唄。1828年(文政11)6月江戸山王祭踊屋台初演。本名題《八重霞賤機帯(やえがすみしずはたおび)》。作詞者不明。作曲10世杵屋(きねや)六左衛門。謡曲《隅田川》《桜川》《班女(はんじよ)》などから歌詞を寄せた一中節《峰雲賤機帯》を長唄化したもの。初演以降絶えていたのを92年7月東京鳥越座で上演。舞踊の振りは各流で多様であるが,狂女と舟長ともにシテの扱いにしてあるのが特色となっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「賤機帯」の意味・わかりやすい解説

賤機帯
しずはたおび

長唄(ながうた)および一中節(いっちゅうぶし)の曲名

(1)長唄は1828年(文政11)6月、10世杵屋(きねや)六左衛門(4世三郎助)作曲。本名題(ほんなだい)『八重霞(やえがすみ)賤機帯』。内容は謡曲『隅田川(すみだがわ)』『班女(はんじょ)』『桜川』をあわせた筋で、わが子の行方を捜す狂女と船頭のやりとりである。初演は日枝(ひえ)神社山王(さんのう)祭に踊り屋台で演じられた。初め一中節の『賤機帯』を予定したが雰囲気があわないので、長唄で新たにつくったという。そのため一中節の影響も強い。

(2)一中節では本名題『尾上雲(おのえのくも)賤機帯』。1751年(宝暦1)江戸・森田座の『祐経扇系図(すけつねおうぎけいず)』二番目に上演。壕越二三治(ほりこしにそうじ)作詞、宮崎忠五郎作曲、村上常五郎振付け。題材は長唄と同じだが歌詞が異なる。長唄、一中とも舞踊を伴う。

[茂手木潔子]

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百科事典マイペディア 「賤機帯」の意味・わかりやすい解説

賤機帯【しずはたおび】

一中節の曲名。本名題《尾上の雲賤機帯》。壕越二三治作詞,宮崎忠五郎作曲。1751年初演。謡曲《隅田川》などによる。この曲によった長唄《八重霞賤機帯》(10世杵屋六左衛門作曲)がある。
→関連項目狂乱物

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「賤機帯」の意味・わかりやすい解説

賤機帯
しずはたおび

三味線音楽,舞踊劇の曲名。略称「賤機」。能の『隅田川』と『桜川』の2曲の趣向をあわせて翻案したもの。 (1) 一中節 本名題『尾上の雲賤機帯』。宝暦1 (1751) 年江戸森田座初演。壕越二三治作詞,宮崎忠五郎作曲,村上常五郎振付。 (2) 長唄 本名題『八重霞賤機帯』。文政 11 (1828) 年,江戸山王祭りの踊り屋台で初演。一中節の翻案であるが,河東節『常陸帯 (ひたちおび) 』の歌詞と趣向も取入れる。 10世杵屋六左衛門作曲。 1892年浅草鳥越座で劇場初演。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「賤機帯」の解説

賤機帯
(通称)
しずはたおび

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
尾上の雲賤機帯 など
初演
宝暦1.春(江戸・森田座)

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世界大百科事典(旧版)内の賤機帯の言及

【狂乱物】より

…これらの作品中,女性が主人公の場合は,恋人やわが子を失ったのが原因による狂乱が圧倒的に多い。現行作品では清元《鞍馬獅子》,常磐津《お光狂乱》,長唄《賤機帯(しずはたおび)》,清元《隅田川(すみだがわ)》,常磐津《お夏狂乱》などがある。男性の狂乱作品には,清元《保名》《幻椀久》,長唄《二人椀久》などがある。…

※「賤機帯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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