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狂乱物 きょうらんもの

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

狂乱物
きょうらんもの

(1) 能の四番目物のうち,物狂いをシテとする種類。男物の『土車』,女物の『隅田川』『百万』など。神憑りに発する一時的な興奮状態 (物狂い) を表現し,狂い笹と呼ばれる笹を持つ。 (2) 歌舞伎舞踊の一系統。

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デジタル大辞泉の解説

きょうらん‐もの〔キヤウラン‐〕【狂乱物】

狂言歌舞伎舞踊で、狂乱した人物の所作を主題にした作品。能の「三井寺」「隅田川」、狂言の「金岡」「枕物狂」、歌舞伎舞踊の「お夏狂乱」「保名(やすな)」など。

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百科事典マイペディアの解説

狂乱物【きょうらんもの】

能および歌舞伎舞踊の作品分類用語。(1)能の曲柄。〈狂い能〉とも。物狂いをシテとしたもので,笹(ささ)や小枝を持ち,右肩脱ぎの扮装(ふんそう)が特色。四番目物の主要な曲柄。

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世界大百科事典 第2版の解説

きょうらんもの【狂乱物】

歌舞伎舞踊系統の一つ。歌舞伎が初期以来,能の〈狂乱物〉(四番目物)を参酌・継承・発展させてきて成った一大系統。〈物狂い〉とも別称される作品群。これらの作品中,女性が主人公の場合は,恋人やわが子を失ったのが原因による狂乱が圧倒的に多い。現行作品では清元《鞍馬獅子》,常磐津《お光狂乱》,長唄《賤機帯(しずはたおび)》,清元《隅田川(すみだがわ)》,常磐津《お夏狂乱》などがある。男性の狂乱作品には,清元《保名《幻椀久》,長唄《二人椀久》などがある。

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大辞林 第三版の解説

きょうらんもの【狂乱物】

能・狂言や歌舞伎舞踊で狂乱を題材とした演目。能の「隅田川」、狂言の「枕物狂」、歌舞伎舞踊の「保名」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

狂乱物
きょうらんもの

能および歌舞伎(かぶき)舞踊の分類上の一系統。能では四番目物の一種で、「物狂い能(ものぐるいのう)」ともいう。主人公は「物狂い」、すなわち物思いのあまり心の均衡を失った人物が一時的に興奮しておもしろく戯れ舞うもので、女物狂いとして子供を捜す母親の『百万(ひゃくまん)』『三井寺(みいでら)』『隅田川(すみだがわ)』、恋人を尋ね求める若い女の『班女(はんじょ)』『花筐(はながたみ)』、わが身の不幸による『蝉丸(せみまる)』、死霊のとりつく『卒都婆小町(そとばこまち)』など、男物狂いとして『高野物狂(こうやものぐるい)』『土車(つちぐるま)』『弱法師(よろぼし)』など、また『雲雀山(ひばりやま)』『芦刈(あしかり)』は物狂いを物売りの芸として演じている例である。
 歌舞伎舞踊では一般に真の狂乱に近く、その奔放な動きで舞踊的効果をあげるものが多い。女中心のものに『賤機帯(しずはたおび)』『鞍馬獅子(くらまじし)』『お光(みつ)狂乱』『お夏狂乱』『隅田川』など、男中心のものに『椀久(わんきゅう)』『保名(やすな)』などのほか、主役がなんらかの目的でわざと狂乱を装う『仲蔵(なかぞう)狂乱』『団十郎狂乱』などがある。扮装(ふんそう)のうえで、これらのうちの多くの役が右肩を脱ぎ笹(ささ)を手にして登場するのは能の「物狂い」の影響で、ほかに紫縮緬(ちりめん)の病鉢巻(やまいはちまき)をすることや、男の狂乱で『保名』のように長袴(ながばかま)をはいて、そのさばきに技巧を要するものの多いのも一つの特色といえる。[松井俊諭]

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世界大百科事典内の狂乱物の言及

【四番目物】より

…現行曲は各流とも約90曲。曲種によって《高野物狂》《蘆刈》《土車》等の男物狂と《百万》《桜川》《三井寺》等の女物狂を総括して〈狂乱物〉,《船橋》《通小町》《阿漕(あこぎ)》等の〈執心物〉,《三笑(さんしよう)》《邯鄲(かんたん)》《天鼓(てんこ)》などの〈遊楽物〉,《鉢木》《盛久》《安宅》等の〈現在物〉などに分類するが,《錦木》《松虫》《梅枝(うめがえ)》等を〈執心遊楽物〉,《摂待(せつたい)》《景清》《鳥追舟》等を〈人情物〉とすることもある。またシテの役柄・使用面から《自然居士(じねんこじ)》《花月》《東岸居士(とうがんこじ)》を〈喝食物(かつしきもの)〉,働事(はたらきごと)から《葵上》《道成寺》《黒塚》(観世流では《安達原》)を〈祈り物〉と分類することもある。…

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