赤ちゃん・子ども(読み)アカチャンコドモ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版の解説

子どもの生理と薬


 子どもの体は、いろいろな面で未発達です。たとえば、乳児は胃の入口の部分(噴門部ふんもんぶ)のしまり具合が悪く、いったん飲み下した薬を吐いてしまうことがあります。子どもの体が成人と大きく違う点は、肝臓や腎臓じんぞうの機能が未発達である、血液と脳のルートが未完成である、各臓器の薬に対する感受性が高い、細菌やウイルスに対して抵抗力が弱いといったことです。


 このため、年齢が低いほど、成人とは違った作用をおこします。胃腸機能が未熟な新生児は薬の吸収が悪く、薬が胃腸に長くとどまります。一方、新生児の脳へは薬がよく移行するので、神経に影響を与える薬(解熱鎮痛剤など)を使うと、思わぬ副作用などをおこすことにもなります。母乳で授乳中の人が薬を飲むときにも、乳児に対する影響を十分注意しなければなりません。


 また、薬の効果には個人差がありますが、子どもではその差が大きく、吸収の速い子と遅い子がいます。効果がなかなか現れないからといって、指示された服用時間前に薬を与えたりすると、成分が体内に蓄積されて中毒をおこすことがあります。十分に注意しましょう。


子どもに多い薬の副作用


 子どもの病気に使われる薬の中でも、抗生物質、強心剤、ビタミンK剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ふくじんひしつホルモン剤(子どもの場合には短期間しか使用しないので、成人ほど問題がおこることは少ない)などは、副作用をおこすことが多いので、服用させるときには、医師・薬剤師の指示を正しく守るようにしてください。かってな判断で服用させると、思わぬ副作用を招きかねません。


じょうずに薬を飲ませるには


子どもに服用させるときの基本


 とくに子どもが自分で薬を飲めるようになる5~6歳頃までは、保護者が子どもの薬についての正しい知識をもつことがとても大切です。


①満腹の状態だといやがって薬を飲まないこともあるので、乳児には空腹時に服用する薬が処方されている。


②食後服用という処方の薬をもらったときに食欲がなくて、食事をしないこともある。このようなときは、食事をしなくても、時間通り薬を飲ませる。


③4時間ごとに1日6回、あるいは6時間ごとに1日4回飲まなければならない薬もある。夜中に起こして飲ませたり、学校の授業中に服用させたりといったことにならないためにも、あらかじめ医師や薬剤師と相談し、無理なく服用できる時間・回数や剤型の薬を選んでもらう。


内服剤を飲ませるとき


 子どもは、薬の量・味・臭いなどで飲んだり飲まなかったりするので、その子が好む剤型や製品が選ばれます。そのため、ふつうの錠剤や散剤のほか、シロップ剤やドライシロップ剤なども使用されています。


散剤粉薬


①子どもは散剤を飲みにくいので、1回分を蜂蜜、シロップ、ジュース、ヨーグルト、アイスクリームなどで練り合わせ、ほおの奥のほうに塗りつけるようにしたり、少量の水に溶かし、スポイトで口の奥に含ませるようにするとよい。


②水の代わりにミルクで溶かして哺乳ほにゅうびんで飲ませてもよいが、哺乳びんの底に薬が残らないように注意する。また、1回分の薬の全量をミルクに溶かして飲ませると、ミルクの味が悪くなり、ミルク嫌いになることもある。そこで、半量くらいはほかの方法(たとえば、薬を溶かしたミルクを飲ませた後に、薬を含まないミルクを飲ませるなど)で飲ませる工夫が必要。


錠剤カプセル剤トローチ剤


①錠剤・カプセル剤・トローチ剤は5歳以下の子どもが飲み下すことは難しく、6歳以上の子どもに用いるのが原則。


②あらかじめ水を含ませてから薬を口に入れコップ1杯の水で飲ませる。


③やむをえず、錠剤を砕いたり、カプセル剤から中身を取り出したりして飲まなければならないときは、苦味や異臭で飲みにくいので、オブラートに包んで飲ませる。


水剤シロップ剤ドライシロップ剤


①容器をよく振って均一に混ぜ、指示された目盛り通りの量を、別の容器にとって飲ませる。薬びんから直接飲ませない。


②どうしても容器の底に薬が残ってしまいがちなので、残った薬に水を加えて、もういちど飲ませる。


③下痢をしている子どもにシロップ剤を飲ませると、含まれている砂糖の刺激で下痢をひどくさせることがある。下痢をしているときは、必ず事前に医師に伝えておくこと。


④飲んだ薬を吐いてしまっても、薬は多少は吸収されるので、再度飲ませたりせず、指示通りの服用を続けること。


⑤ドライシロップ剤を何回分かまとめて水に溶かしておくと、薬が変質することもあるので、めんどうでも服用するたびに1回分を溶かして飲ませるようにする。


⑥水剤は変質しやすいので、しっかりとふたを閉め、冷蔵庫に保管すること。


外用剤を使うとき


軟膏剤なんこうざい


①子どもの皮膚は吸収がよく、敏感なので、塗りすぎたり、使用回数をかってに増やしたりしない。


②1日2~3回の使用が原則で、塗るときは前回塗布した軟膏をよくふき取ってから塗るようにする。


③子どもは動作が激しいので、軟膏を塗った部分は包帯などでよく固定しておくとよい。


坐剤ざざい坐薬ざやく


①坐剤を肛門こうもんに挿入すると、その刺激で排便を誘発することがある。まず便意の有無を確かめ、便意があれば排便させてから挿入する。


②挿入するときは、肛門から直腸内へ圧迫するようにして、奥のほうへ挿入する。直腸内へ十分に入っていないと、動いたときに排出してしまうことがある。挿入して15分もすれば、排出の心配はなくなる。


③子どもが下痢をしているときは、医師とよく相談し、ほかの剤型に代えてもらう。


④解熱(鎮痛)剤の坐剤を続けて使用すると熱が下がりすぎることがある。指示を守り4時間以上の間隔をあけて使用する。


点眼剤てんがんざい


①子どもを寝かせ、頭を押さえて上を向かせ、目を開いたときに滴下する。点眼したとき、涙道るいどうから点眼剤の一部が口に入る場合があるので、飲み込まずに吐くように教えておく。


②使用後は、冷蔵庫に入れて保管し、使用期限を過ぎたものは捨てること。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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