改訂新版 世界大百科事典 「赤倉」の意味・わかりやすい解説
赤倉[温泉] (あかくら)
新潟県妙高市の旧妙高高原町にある温泉。妙高山東側の標高750m前後にあって,妙高高原温泉郷の中核をなす。県内では関温泉(18世紀初め)に次いで歴史のある温泉で,1818年(文政1)に高田藩営事業として妙高山の北,地獄谷称名滝付近より湧き出る湯を引き開湯したのに始まる。重炭酸土類泉,60℃。開湯以来近郷の湯治客,越中,能登からの善光寺参詣の団体客も訪れた。87年信越本線が開通して北国街道がさびれたが,東京資本により近代的温泉地に開発された。尾崎紅葉,岡倉天心などが訪れて紹介され,天心の山荘は今も保存されている。第2次世界大戦後,変化に富むスロープはスキー場として注目され,1950年日本最初のリフトが開設された。標高が高く雪質に恵まれ,日本有数の温泉スキー場に成長した。春から秋にかけ,高原から妙高山,黒姫山,飯縄(いいづな)山や野尻湖,高田平野の眺望がよく,レクリエーション観光地としても発展している。東方の田切には赤倉から引湯された新赤倉温泉があり,避暑客,スキー客でにぎわう。
執筆者:磯部 利貞
赤倉[温泉] (あかくら)
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報