(読み)カン

デジタル大辞泉 「関」の意味・読み・例文・類語

かん【関〔關〕】[漢字項目]

[音]カン(クヮン)(漢) [訓]せき かかわる かんぬき あずかる
学習漢字]4年
〈カン〉
門や扉を閉じる横木。かんぬき。「関鍵かんけん
国境などに設けて通行人を調べる所。せき。「関西関税税関通関
入り口。「関門玄関難関
有機的につながっている仕組みや仕掛け。「関節機関
つながりを持つ。かかわる。「関係関心関知関与関連相関連関
「関白」の略。「摂関
〈せき(ぜき)〉「関所せきしょ関守大関
[名のり]とおる・み・もり
[難読]機関からくり

せき【関】

《「」と同語源》
関所」に同じ。「箱根の
物事をさえぎりとどめるもの。へだて。しきり。
「人目の―を離れし場所にて」〈魯庵社会百面相
相撲取りの最上位の者。関取。→ぜき(関)
射芸で、最終の射手。
囲碁で攻め合いになった場合、先に石を打ったほうが打ち上げられる局面。ともに「」だが「」にはならない。

ぜき【関】

[接尾]《「関取せきとり」の略》相撲で十両以上の力士のしこ名に付ける敬称。「若乃花
[類語]力士お相撲さん関取取的ふんどし担ぎ相撲取り

せき【関】[地名]

岐阜県中部の市。鎌倉時代から始まる刀鍛冶かたなかじで知られ、関の孫六などの名匠が出た。刃物や洋食器を生産。平成17年(2005)2月に洞戸ほらど村、板取村武芸川むげがわ町、武儀むぎ町、上之保かみのほ村を編入し、V字型の市域となった。人口9.1万(2010)。
東海道五十三次の宿場の一。現在の三重県亀山市の地名。

せき【関】[姓氏]

姓氏の一。
[補説]「関」姓の人物
関寛斎せきかんさい
関孝和せきたかかず
関一せきはじめ

かん〔クワン〕【関】

出入りを取り締まる所。関所せきしょ。せき。
経穴けいけつの一。へその近くにある。関元かんげん

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精選版 日本国語大辞典 「関」の意味・読み・例文・類語

せき【関】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 「せき(堰)」と同語源 )
    1. 物事をささえとめること。また、そのもの。へだて。
      1. [初出の実例]「彦星に恋はまさりぬ天の河へだつるせきをいまはやめてよ」(出典:伊勢物語(10C前)九五)
    2. せき(堰)
    3. 国境や要所などにあって、通行者を検問する所。
      1. (イ) 関所。
        1. [初出の実例]「是の月 初めて関(セキ)を龍田の山・大坂の山に置く」(出典:日本書紀(720)天武八年一一月(北野本訓))
        2. 「谷合の関(セキ)逆木(さかもぎ)も引除(のけ)て通る人無ければ」(出典:太平記(14C後)九)
      2. (ロ) 特に、逢坂(おうさか)の関をいう。
        1. [初出の実例]「いはんや、せきにいたりて、しばし車とどめて」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
    4. せきせん(関銭)」の略。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    5. 獣を入れておくおり。かこい。
      1. [初出の実例]「圏 獣闌 世支」(出典:新撰字鏡(898‐901頃))
    6. 相撲取りの最上位の者。最上位で相撲を取る者。関取。大関。→関(ぜき)
      1. [初出の実例]「よひより一番もとらざりければ、人々いでて関をとれとぞすすめける」(出典:室町殿日記(1602頃)一〇)
    7. ( 「関の山」の形で用いて ) 物事の限度。
    8. 射芸で、最後の射手の称。転じて、弓矢に巧みな人。関の後(うしろ)
      1. [初出の実例]「其せきは、大略、敵つらをまもり具足をまぼる」(出典:御伽草子・鴉鷺合戦物語(室町中))
    9. ( 「持」「塞」の字をあてることもある ) 囲碁で、攻合いの形になっている双方の一連の石が、互いに相手を取りに行くと自分のダメが詰まって逆に打ち上げられてしまう状態。せきの石で囲んだ点は地には数えないが、その中で取る石はハマとして地に換算される。せきはせきくずれまたはコウダテに使われない限り、生き石である。
      1. [初出の実例]「味噌こし碁又まいらふか峰の坊 おせきもつ共遅き月影〈由平〉」(出典:俳諧・大坂独吟集(1675)下)
    10. せきぶね(関船)」の略。〔和漢船用集(1766)〕
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] ( 鎌倉時代に東山道の関所が置かれたところからの呼称 ) 岐阜県南部の地名。長良川に沿う。鎌倉時代から刀鍛冶で知られ、明治中期からポケットナイフの生産が始まり、刃物・洋食器製造を主とする。新長谷寺・彌勒寺跡などがある。昭和二五年(一九五〇)市制。
    2. [ 二 ] 三重県亀山市の地名。鈴鹿峠東側のふもとにあり、江戸時代は東海道の宿場町として発展。古代、鈴鹿関が置かれていた。

かんクヮン【関】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 門戸をさしかためる横木、貫木(かんのき)の意から ) 出入りを取りしまるための門。関所。せき。
    1. [初出の実例]「一夫関(クヮン)に当るや万夫も開くなし」(出典:唱歌・箱根八里(1901)〈鳥居忱〉)
    2. [その他の文献]〔易経‐復卦〕
  3. 漢方医学でいう人体の一部。手首の下の動脈が搏(う)つ箇所の一つ。
    1. [初出の実例]「三部を以て云へば、寸を為上焦ぞ。関を為中焦ぞ。尺を為下焦ぞ」(出典:史記抄(1477)一四)
  4. へそのまわり三寸ほどの部分。呼吸する気息が腹中におさまるところとされた。

ぜき【関】

  1. 〘 接尾語 〙 ( 「関取(せきとり)」の略 ) 相撲で十両以上の力士名にそえる敬称。「双葉山関」

せき【関・尺】

  1. 姓氏の一つ。

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普及版 字通 「関」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 14画

(旧字)關
19画

[字音] カン(クヮン)・ワン
[字訓] かんのき・とじる・せき

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
門+(かん)。は関鍵の象。門にを施す意。〔説文〕十二上に「木を以てに門を持するなり」とあり、かんのきを施すことをいう。〔説文〕十三上を織機の杼の形とするが、おそらく(けいそう)とよばれる構造の鍵で、両扉を連ねてこれを閉ざす鍵であろう。門関以外にも訓義の多い字であるが、みなその引伸義とみてよい。

[訓義]
1. もんのかぎ、かんのき。
2. とじる、とざす、ふさぐ、へだてる。
3. せき、せきしょ、駅、宿場。
4. ものの関鍵、要所。
5. つらなる、かかわる、関係。
6. 鍵を通す、通す、つ、貫く。
7. 彎(わん)と通じ、弓ひく。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕關 日本紀私記に云ふ、關門、世岐度(せきど)〔名義抄〕關 アヅカル・トホス・トホル・カヨハス・ワタル・ツラヌク・ツツル・イル・サカヒ・トトム・アキラム・ワキマフ・セキ・クスヌク・フサク・トヲシ・トザシ・サス

[熟語]
関愛・関隘・関意・関下・関河・関懐・関外・関碍・関礙・関隔・関・関関・関・関弓・関徼・関竅・関禁・関係・関・関・関決・関・関鍵・関侯・関左・関塞・関市・関支・関試・関雎・関渉・関情・関心・関津・関税・関説・関接・関節・関銭・関託・関通・関渡・関白・関文・関牡・関防・関報・関門・関籥・関右・関与・関予・関預・関覧・関吏・関・関楼
[下接語]
雲関・越関・海関・開関・郭関・扞関・機関・郷関・関・啓関・鍵関・玄関・古関・故関・鎖関・塞関・山関・司関・出関・税関・摂関・相関・脱関・通関・透関・難関・入関・赴関・閉関・辺関・門関・連関

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改訂新版 世界大百科事典 「関」の意味・わかりやすい解説

関[市] (せき)

岐阜県南部の市。2005年2月旧関市が武儀(むぎ),武芸川(むげがわ)の2町と板取(いたどり),上之保(かみのほ),洞戸(ほらど)の3村を編入して成立した。人口9万1418(2010)。

関市北西端の旧村。旧武儀郡所属。人口1921(2000)。長良川支流の板取川最上流域の山村。福井県に接し,北部の平家岳(1442m)を主峰とする山脈が日本海と太平洋の分水界をなす。板取川が村の中央を深い浸食谷を刻んで南流し,集落と耕地は河川両岸のわずかな低地に点在する。村域の大部分が山林,原野で占められ,林業を主産業とする。人口減少が著しく過疎化が進むが,板取川の最上流は紫八丁(板取峡)の秘境で,自然休養村の指定を受け,観光開発が進められた。

関市北東端の旧村。旧武儀郡所属。人口2483(2000)。長良川支流の津保川上流域に位置する山村。河川流域に低地があるほかは,村域の大部分は山地で,過疎化が著しい。農業は米作中心から畑作栽培に転換され,茶,シイタケの特産物生産が盛ん。特に茶は津保茶として出荷される。また,村域の大半を占める山林では良質のヒノキ材を産出し,製材所や木工所が多い。村内の社寺には多数の円空仏がある。
執筆者:

関市南部の旧市。1950年市制。人口7万4438(2000)。長良川に津保川,武儀川が合流する関盆地に中心部が展開する。長良川の舟運に恵まれ,飛驒路(金山街道)と奥美濃路(郡上街道)の交わるところで,物資の集散地であった。中世以来関の孫六(関物)で知られた刃物の町で,室町時代を最盛期に多くの名工を生み,織田信長らの保護もあって,〈関は千軒鍛冶屋が名所〉といわれるほど繁栄した。江戸中期に刀鍛冶は衰え,包丁,はさみなどの打刃物や農具の生産に主力が移り,明治以降,洋食器,カミソリ替刃,ポケットナイフなどを生産する金属工業に発展した。輸出額も多いが,多くは農村の下請加工業者で作られる。自動車部品製造工場も進出している。新長谷寺(しんちようこくじ)(吉田(きつた)観音)には重要文化財の堂宇や仏像があり,古代に当地を支配した身毛君一族の氏寺といわれる弥勒寺跡(史),刀工が崇敬した春日神社もある。春日神社所蔵の能装束類は重要文化財。小瀬では中世以来の鵜飼いが行われる。長良川鉄道,名鉄美濃町線(2005年廃止),東海北陸自動車道が通り,丘陵地には県置百年記念公園,県立博物館がある。
執筆者:

関市北西部の旧村。旧武儀郡所属。人口2316(2000)。中央部を長良川の支流板取川が南流し,川沿いに沖積低地があるほかは,高賀山(1224m)を主峰とする美濃越前山地が大部分を占める。かつては木炭と和紙の生産が盛んであった。農林業は零細でキウィフルーツの栽培,加工が行われるが,西隣の山県市の旧美山町のバルブ工場への通勤者も多い。ほかに家具製造業,縫製業が行われる。人口の減少が著しく,過疎地域の指定を受けている。高賀渓谷一帯は奥長良川県立自然公園に含まれる。高賀山麓の高賀神社は平安中期の創建といわれ,山岳信仰の一拠点であった。同社は円空作の仏像なども蔵する。

関市北東部の旧町。旧武儀郡所属。1971年町制。人口4220(2000)。長良川の支流津保川上・中流域に位置し,町域の大部分は標高500m前後の丘陵地からなる。美濃と飛驒を結ぶ飛驒街道が通り,江戸時代は尾張藩に属した。津保川沿いにわずかな低地が開け,米作を中心にシイタケや茶の栽培,養鶏などが行われる。南接する旧関市への交通の便もよいため,刃物を中心とする金属製品,家具などの製造工場の進出もみられる。南西境の高沢山一帯は奥長良県立自然公園に含まれる。山腹には高沢観音とも呼ばれる古刹日竜峰(にちりゆうぶ)寺があり,北条政子発願と伝える鎌倉時代建立の多宝塔(重要文化財)が有名。

関市北西部の旧町。旧武儀郡所属。人口6683(2000)。長良川の支流武儀川が町内を南東流し,川に沿って低地が開けるが,町域の大半は山地である。武儀川流域は古くから武芸谷と呼ばれ,板取川流域の牧谷とともに美濃紙の主産地で,かつては農家の副業として手すき和紙製造が盛んであったが,現在は機械製紙が中心となっている。農林業を主とするが,美濃市,旧関市,岐阜市に隣接するため,これらの地域の発展に伴って機械,金属研磨,木工業などの工場の進出がみられる。北部は寺尾ヶ原千本桜などの名所があり,奥長良川県立自然公園に属する。
執筆者:


関[温泉] (せき)

新潟県南西部,妙高市の旧妙高村にある温泉。泉質は含食塩炭酸鉄泉,泉温46℃。妙高山東麓の標高900mに位置し,南西方は黒姫山,戸隠山,北は高田平野から日本海までを望む。空海発見という伝説があり,享保年間(1716-36)に岡山の人宝蔵院一泰が道を拓いて浴舎を設けたという記録もある。1913年国設スキー場が開設され温泉街も近代化された。JR信越本線関山駅からバスの便がある。
執筆者:


関(三重) (せき)


関 (せき)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「関」の意味・わかりやすい解説

関(市)
せき

岐阜県中南部にある刃物工業都市。1950年(昭和25)関町が千疋(せんびき)村、田原(たわら)村を編入して、市制施行。1951年下有知(しもうち)村、1954年富野村、1955年小金田(こがねだ)村を編入。さらに2005年(平成17)には、武芸川(むげがわ)、武儀(むぎ)の2町、洞戸(ほらど)、板取(いたどり)、上之保(かみのほ)の3村を編入した。この結果、市域は北西と北東に延び、面積は従前の4倍強となった。中心市街地は、長良(ながら)川の支流津保川(つぼがわ)の北岸の台地に発達。長良川鉄道、国道156号、248号、418号が通じ、東海北陸自動車道の関インターチェンジ、東海環状自動車道の関広見インターチェンジも設置され、交通も便利。また、北部を国道256号が縦貫する。関の名を全国に高めた刀鍛冶(かじ)は鎌倉時代におこり、戦国時代には全盛期を迎え、初代孫六兼元(かねもと)の作が有名。しかし、江戸時代には衰え、鍛冶職は、1597年(慶長2)の170軒から、1872年(明治5)の61軒に減少。明治中期からポケットナイフの生産が輸出とともに伸び、剃刀(かみそり)の替刃、包丁、鋏(はさみ)なども生産されてきた。また、第二次世界大戦後、とくに洋食器刃物の生産が駐留アメリカ軍の需要や輸出に支えられて発展。刃物は、替刃のように一貫生産されるものもあるが、多くの工程のうち、研磨作業をはじめ各種の加工作業は、関市および近接市町で小規模な家内工業として下請けされている。一方、縫製業や自動車部品製造業なども伸びつつある。北東部や北西部の山村では木材の生産が盛んで、関刃物の研磨や家具製造なども行われている。国指定史跡の弥勒寺跡(みろくじあと)のほか、刀鍛冶の守護神春日(かすが)神社や吉田観音(きったかんのん)とよばれる新長谷(しんちょうこく)寺のほか、宗休(そうきゅう)寺(関善光寺)もある。面積472.33平方キロメートル、人口8万5283(2020)。

[上島正徳]

『『関市史』(1967・関市)』『『新修関市史』全8巻(1993~1999・関市)』




せき

三重県中北部、鈴鹿郡(すずかぐん)にあった町(関町(ちょう))。現在は亀山市西部を占める地域。旧関町は、1889年(明治22)町制施行。1955年(昭和30)加太(かぶと)、坂下(さかした)の2村を編入。鈴鹿郡に残された唯一の町であったが、2005年(平成17)亀山市に合併、この合併により鈴鹿郡は消滅した。旧町名は古代の三関の一つ鈴鹿関に由来する。地域の中心部は鈴鹿川と加太川の合流点の下流左岸の河岸段丘上にあり、JR関西本線と国道1号が通る。古来、東海道、大和(やまと)街道、伊勢(いせ)別街道の分岐点で、現在も国道1号、25号、名阪国道、東名阪自動車道、伊勢自動車道が分岐する交通の要衝である。米作と茶栽培が盛ん。また、名阪亀山・関工業団地も造成されている。町内には近世の東海道の関宿と坂下宿があり、関宿は1800年(寛政12)の絵図では本陣2、脇本陣2、旅籠(はたご)87を数え、県内では亀山に次ぐ規模であった。当時のおもかげを残す家屋が多く、1984年に重要伝統的建造物群保存地区に選定された。関宿旅籠玉屋歴史資料館、関まちなみ資料館、鈴鹿馬子唄会館などがある。「関の地蔵さん」として親しまれる地蔵院は奈良時代の行基(ぎょうき)の開基と伝え、愛染堂は県下最古(室町期とも江戸初期とも)の木造建築物で、本堂、鐘楼とともに国の重要文化財。北部の山岳地帯は鈴鹿国定公園に含まれている。

[伊藤達雄]

『『鈴鹿関町史』全2巻(1977、1984・関町)』


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山川 日本史小辞典 改訂新版 「関」の解説


せき

通行人や物資などの移動を留めたり,検閲を行う施設。(1)古代には軍事・交通上の要衝に設置された。関市令(げんしりょう)に規定される。関の通過には京職や諸国などから発給される過所(かしょ)が必要だった。鈴鹿・不破・愛発(あらち)関が三関(さんげん)として重視され,三関を管轄する伊勢・美濃・越前3国は関国として特別にあつかわれた。平安時代には鈴鹿・不破・逢坂(おうさか)が三関とされた。三関は謀叛や天皇の死去などに際し急使が派遣され,三関を閉ざす固関(こげん)が行われた。そのほか相模国の足柄,上野国の碓氷,陸奥国への勿来(なこそ)・白河,出羽国への念珠(ねず),山陽道の須磨・長門などの関が知られる。(2)中世では,幕府・朝廷・大寺社などが関銭を徴収する目的で設けた。室町中期に伊勢街道の桑名・日永間15kmに60余の関所があって,人別1銭ずつ徴収したことが記録されている。このため戦国大名には関所を廃止する動きがあり,織田信長や豊臣秀吉はその政策を全国に及ぼそうとした。(3)近世では,江戸幕府が江戸防衛のために主として天険の地におき,関所といった。主要街道や裏道まで全国五十数カ所に配備。関所では「入鉄砲に出女」をきびしく検閲し,それに付随して犯罪者・不審者なども取り締まった。諸藩が関所をおくことは禁止されていたが,口留(くちどめ)番所と称して関所的な施設をおいた例は多い。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

百科事典マイペディア 「関」の意味・わかりやすい解説

関[市]【せき】

岐阜県南部の市。1950年市制。長良(ながら)川と支流津保川,武儀川中流,板取川中上流の各流域を占め,長良川鉄道,東海北陸自動車道が通じる。中心市街の関は関鍛冶(かじ)と呼ばれる日本刀の鍛造地として知られ,江戸中期まで関孫六(兼元),和泉守兼定,志津三郎などの名匠が出た。以後,鍬(くわ),鎌を製造,明治中期からはポケットナイフ,安全かみそりの替刃,はさみ,洋食器などを生産する金属工業に発展,第2次大戦後は特に洋食器が主流となり輸出も盛んである。金属工業は市の製造品出荷額の30%(2003)を占めているが,1980年代には工業団地が造成され,一般機械や自動車部品製造工業も成長している。新長谷寺(吉田観音),善光寺,弥勒(みろく)寺跡(史跡)がある。2005年2月武儀郡武芸川町,武儀町,洞戸村,板取村,上之保村を編入。472.33km2。9万1418人(2010)。

関[町]【せき】

三重県北部,鈴鹿郡の旧町。主集落は東海道,大和街道が交わる要衝にあり,鈴鹿越えの麓集落として発達,鈴鹿関が置かれ,近世は宿場町として繁栄した。関西本線,名阪国道が通じ,伊勢自動車道が分岐する。米,茶を産する。スギ,ヒノキなど優良材の産地。2005年1月亀山市へ編入。79.88km2。7120人(2003)。

関[温泉]【せき】

新潟県中頸城(なかくびき)郡妙高村(現・妙高市),妙高山東麓の温泉。大田切川と片貝川にはさまれた,標高900mの高原にわく。含鉄食塩泉。45℃。中世,妙高山の修験者によって用いられ,江戸時代には湯小屋が建てられた。妙高戸隠連山国立公園に属し,スキー場があり,避暑地でもある。えちごトキめき鉄道関山駅からバスが通じる。

関【せき】

関所

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「関」の意味・わかりやすい解説


せき

三重県北部,亀山市西部の旧町域。鈴鹿山脈南東麓にある。 1889年町制,1955年関町と坂下村,加太村が合体。 2005年亀山市と合体。地名は鈴鹿関に由来。古代からの交通の要地で中心地区の関は東海道と伊勢別街道 (現国道 25号線) の分岐点にあたり,関宿と呼ばれて宿駅が発達し,江戸時代は県下で亀山宿に次ぐ規模であった。鈴鹿川流域の米作,古くからの林産業も行なわれるが,近年観光業が重要になっている。宿の面影を残す建物が多く,1984年に伝統的建造物群保存地区に指定。また行基が開いた名刹関の地蔵院 (九関山宝蔵寺) は国の重要文化財に,正法寺山荘跡は国の史跡にそれぞれ指定されている。北部坂下も東海道の旧宿場町。滋賀県との県境の山岳地帯は鈴鹿国定公園に属する。

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事典・日本の観光資源 「関」の解説

(三重県亀山市)
東海道五十三次」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【関所】より

…道路上の要衝に設け,通行者,貨物を検査し,あるいは通行税(関銭)を徴収し,事あるときは交通を遮断し防備にあたった施設。古くは関といった。…

【漂泊民】より

…そしてこうした対立した立場のいずれが社会の中で支配的な比重を持つかによって,一方による他方の抑圧,賤視が生じうるが,それは時代により,また民族,地域等によってさまざまであり,固定的にとらえることはできない。 日本の社会の場合,漂泊民と定住民との分化が多少とも現れてくるのは,農業の開始以後であるが,14世紀ごろまでは,その区別は必ずしも明確でなく,両者の関係は流動的であった。漁労民―海民,狩猟・採集民―山民,さらに芸能民,呪術者,宗教者,商工民等が,山野河海で活動し,道を通り,市で交易活動を展開する限りにおいて,彼らは漂泊民,遍歴民として姿を現すが,その根拠地においては若干の農業に携わる場合が多かった。…

【旅券】より

…そのほか,指揮者のいる団体旅行者に一括して与えられる団体旅券,無国籍者や本国の旅券を取得できない外国人に所在国が与える外国人旅券の制度をもつ国もある。権限ある国際機関や所在国が難民に発給する旅券や難民旅行証明書(例えば,国際連盟時代に難民高等弁務官ナンセンの発案で難民所在国が発給した身分証明書はナンセン旅券と呼ばれた),さらに領事の発行した渡航証明書などが,広義の旅券として日本で認められている。 日本の〈出入国管理及び難民認定法〉(出入国管理)は,乗員手帳を持つ船員などを除き〈外国人は,有効な旅券を所持しなければ本邦に入ってはならない〉(3条1項)と規定する。…

【妙高温泉郷】より

…新潟県南西部,妙高山(2446m)東麓の妙高高原に開けた温泉郷。標高の高い順に,約1100mの燕(つばめ)温泉(含土類セッコウ泉,45℃),約900mの関温泉(含鉄食塩泉,46℃),700~800mの赤倉温泉(重炭酸土類泉,60℃),池ノ平温泉(単純泉,60℃),500~600mの妙高温泉,新赤倉温泉(いずれも赤倉温泉からの引湯)と並ぶ六つの温泉からなる。享保年間(1716‐36)開湯の関温泉が最も古く,大正末期開湯の池ノ平温泉,新赤倉温泉が最も新しい。…

※「関」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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