日本大百科全書(ニッポニカ) 「赤岡」の意味・わかりやすい解説
赤岡
あかおか
高知県中部、香美郡(かみぐん)にあった旧町名(赤岡町(ちょう))。現在は香南市(こうなんし)の西南部を占める地域。高知平野の東端にあり、土佐湾に面した砂堆(さたい)に立地した街村。旧赤岡町は、1899年(明治32)町制施行。面積1.64平方キロメートルは高知県下で最小の町であったが、2006年(平成18)香我美(かがみ)、野市(のいち)、夜須(やす)の3町および吉川(よしかわ)村と合併して市制施行、香南市となった。戦国時代末期には、すでに漁村のみならず市町を発達させ、古くから物部(ものべ)川上流の山村部をも後背地とする商業中心地であり、明治・大正期には郡役所、簡易裁判所、税務署などが置かれ、郡の中心でもあった。土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線が通じ、室戸(むろと)岬へは国道55号(土佐街道)が通じる。かつてのイワシ地引網を主とする漁業は衰退したが、シラス漁業などがあり、「ドロメ(生チリメンジャコ)祭」も行われる。7月の須留田神社(するたじんじゃ)の大祭は、絵金(えきん)(幕末から明治の町絵師)の屏風(びょうぶ)絵を商家の軒先に展示することで有名。
[大脇保彦]
『『赤岡町史』(1980・赤岡町)』