デジタル大辞泉
「越天楽」の意味・読み・例文・類語
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えてんらくヱテンラク【越天楽】
- [ 一 ] 雅楽。唐楽(左方)に属し、平調(ひょうじょう)が一般的で、盤渉調(ばんしきちょう)、黄鐘調(おうしきちょう)の曲もある。早四拍子(はやよひょうし)の小曲で、舞はなく、管弦だけで演奏される。平安朝のはじめに伝来して流行し、のちには今様の旋律として用いられて広まった。林越天。林鐘州。
- [ 二 ] 箏曲(そうきょく)。箏組歌(ことくみうた)中の「ふき(菜蕗・蕗・富貴・布貴)」の別名。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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越天楽
えてんらく
雅楽の唐楽曲。越殿楽とも。舞はなく管絃(かんげん)のみ。盤渉調(ばんしきちょう)、黄鐘調(おうしきちょう)、平調(ひょうじょう)の3種がある。盤渉調越天楽が原曲で、他の二つは「渡物(わたしもの)」(一種の移調)として16世紀ごろつくられたという。いずれも明確な三部形式。楽曲全体を三返(あるいは五返)繰り返す間に楽器を減じ、箏(そう)の技法を強調して聞かせる「残楽(のこりがく)」の奏法でしばしば奏される。平調越天楽は雅楽、ひいては日本音楽の代表曲。僧賢順(けんじゅん)が箏組歌(ことくみうた)『富貴(ふき)』をつくって筑紫(つくし)流をおこしたほか、宮城(みやぎ)道雄の『越天楽変奏曲』、近衛秀麿(このえひでまろ)・直麿(なおまろ)兄弟の交響曲編曲でも有名。この旋律に七五調四句を付した平安中期の今様(いまよう)をとくに『越天楽今様』という。なかでも筑前(ちくぜん)今様は今日の『黒田節』(酒は飲め飲め……)の原曲である。
[橋本曜子]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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越天楽
えてんらく
雅楽の唐楽 (とうがく) の曲名。「越殿楽」とも書く。作曲者や,唐代中国からの伝来の事情は未詳。舞は伴わず,管弦の形でのみ演奏される。平調 (ひょうぢょう) のものと,黄鐘 (おうしき) 調のものと,盤渉 (ばんしき) 調のものの3種があり,平調の越天楽は,全雅楽曲を通じて最もよく知られた曲。3種の越天楽のうち,盤渉調のものが原曲で,他の2曲はそれを移調したものであるが,平調が原曲という説もある。この旋律で今様を歌うことも行われ,越天楽今様と称した。北九州民謡の『黒田節』すなわち『筑前今様』は平調越天楽によっている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の越天楽の言及
【菜蕗】より
…富貴,蕗,布貴などとも書く。《越天楽(の曲)》ともいう。箏伴奏の〈越天楽歌物(うたいもの)〉が組歌形式の歌曲に発展した過程を示すものの最古典曲。…
※「越天楽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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