日本大百科全書(ニッポニカ) 「跳び箱」の意味・わかりやすい解説
跳び箱
とびばこ
器械運動に使用する器具で、踏み越したり、またいだり、乗り越えたり、手をついて跳び越したり、倒立したり、転回するなど各種の運動が行われる。跳び箱運動は、障害物を征服する運動である。跳び箱という障害物を跳び越すことにより、基礎的な体力、跳躍力、機敏性、身体支配能力の向上とともに、注意力、勇気、決断、自信などの精神要素の養成も目標にしている。すでに古代ローマ時代に兵士の馬術の基礎訓練として、木馬を跳び越す運動が行われていた。
現在の跳び箱はスウェーデンで考案されたもので、スウェーデン体操の普及とともに世界に紹介され、学校体育において鉄棒とともに器械運動の重要な位置を占めるに至った。跳び箱には、上部より下部の広い台形のスウェーデン型と長方形のドイツ型があるが、日本ではスウェーデン型のものが一般に使用されている。跳び箱運動が、現在体操競技種目の一つである跳馬に発展した。
[上迫忠夫]