身分制度(読み)みぶんせいど

精選版 日本国語大辞典 「身分制度」の意味・読み・例文・類語

みぶん‐せいど【身分制度】

  1. 〘 名詞 〙 封建時代に人の社会的身分が固定していて、代々継承され、変更することが困難または許されなかった制度

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百科事典マイペディア 「身分制度」の意味・わかりやすい解説

身分制度【みぶんせいど】

前近代社会を特色づける人間の社会的関係。日本の古代律令制では中国にならって身分を良民と賤民に分け,さらに賤民を区分して五賤とした。律令国家の崩壊でこの制度は解体され,中世には制度化されることはなかったが,兵農分離刀狩を経た近世幕藩体制で再編成された。武士を支配身分としその下に百姓町人が置かれ,さらにその下に賤民身分(えた非人猿飼など)が置かれた。各身分は原則的には固定され,その内部でさらに細分化,社会的行動一切を規制されていた。明治政府は1871年〈太政官布告(解放令)〉を発して賤民制度を廃止し,法制的差別を一応解消したが,一方では皇族華族士族平民への再編を行い,社会的差別は残存した。
→関連項目渋染一揆賤民被差別部落兵農分離道々の者身分

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旺文社日本史事典 三訂版 「身分制度」の解説

身分制度
みぶんせいど

身分とは国家権力によって設定された政治的差別で,近代以前の社会(特に封建社会)において,政治的に社会秩序を維持するべく設けられた制度
経済的な差別で,移ることも可能な階級とは異なり,身分は出生によって所属する社会層が決まり,法によって規定され,個人の努力で移ることは不可能である。日本においては邪馬台国 (やまたいこく) の大人 (たいじん) ・下戸にすでにみられ,氏姓制度や律令国家の官人,良・賤の別などが定められている。鎌倉・室町時代にも武士の進出という過渡期で明瞭ではないが,身分の別は存在した。江戸時代には支配階級の身分として「士」があり,その下に農・工・商を設けて身分制度は完成した。さらに公家僧侶・賤民などを設け,それぞれさらに細かい身分階層に分けられて,勝手にかわることはできなかった。明治維新で四民平等となったが,皇族・華族・士族・平民が存在した。第二次世界大戦後の新憲法でもごくわずかの皇族が残っている。

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