六訂版 家庭医学大全科 「転びやすい」の解説
転びやすい
ころびやすい
Frequent stumbling
(お年寄りの病気)
「
自然な加齢変化以外で、転びやすくなる病気には次のようなものがあります。
①脳や
脳梗塞(のうこうそく)の後遺症、パーキンソン症候群、小脳の病気など脳に問題があると体のバランスが悪くなり、転びやすくなります。また、
②下肢の筋力が弱くなる、とくに足首や足の指が反りにくくなる
下肢の筋力が衰えると、それだけで転びやすくなります。病気やけがなどで長く寝ていると筋力が落ちるので、急に元のように歩こうとすると転ぶおそれがあります。
また、腰椎の変形や椎間板の問題で神経が圧迫される腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)や腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアでは、足首や足の指が反りにくくなることがあり、カーペットの端などのちょっとした段差でも、つまずきやすくなります。
③背中や腰が曲がってくる
骨粗鬆症(こっそしょうしょう)で
一般的に背中が曲がってきたり、身長が低くなってきた時(目安は若い時より2㎝以上低くなった場合)は、骨粗鬆症の心配がありますので、医療機関で検査を受けてください。骨が弱くなった状態で転ぶと、脊椎圧迫骨折や大腿骨(だいたいこつ)頸部骨折を起こしやすいので、とくに注意が必要です。
④股関節や膝関節が伸びなくなる
変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)や変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)のために脚がまっすぐ伸びなくなると、前傾姿勢になったり、体の重心が後方に寄ったりするため転びやすくなります。これらの病気は、脚の付け根や膝の痛みが伴うので、それも含めて整形外科で相談してください。
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以上のように転びやすくなる原因はいろいろです。最近、転びやすくなったなと実感して、前述の病気の可能性がありそうなら、整形外科や神経内科を受診してください。そして、どのような場合でも、脚の筋肉を鍛えて、関節の動きをよくすることが、転倒予防には大切です。
筋力を鍛えるためには、まず歩くことが大切です。姿勢をよくして、できれば普段よりすこし速いペースで、20~40分程度歩きましょう。また、階段などをよく使うほうが転倒は少なくなります。
さらにバランスをよくするために、片脚立ちの練習も効果的です。左右1分間ずつ、1日3回くらいしましょう。片脚立ちで転びそうな場合は、何かに軽く手をついても構いません。そして、日々の生活のなかでもよく動くことを心がけましょう。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報