希薄磁性合金が示す電気的・磁気的現象。1964年に日本の近藤淳により理論的に提起されたことからこの名がある。金,銅のような金属中に非常に希薄にマンガン,鉄などの遷移金属原子を磁性不純物として含むものを希薄磁性合金と呼ぶ。これらの不純物原子は磁気モーメントをもつが,近藤効果はこのような金属中の原子に局在した磁気モーメント成立の基本にかかわる問題を提起した。固体の物理学は,多くの粒子が相互作用をしながら複雑な運動をする系を理解する,すなわち多体問題を解くという側面をもつが,近藤効果の問題はこの多体問題の一例としても固体物理学者の関心を呼び,詳しい研究がなされた。近藤効果の特徴的なものとして電気抵抗などの物理量の温度による変化に対数依存性が現れること,これが低温になるとゆるやかに通常の合金のものに転移することがあげられる。この転移を特徴づける温度は近藤温度と呼ばれる。
執筆者:吉森 昭夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(尾関章 朝日新聞記者 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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