デジタル大辞泉
「迷う」の意味・読み・例文・類語
まよ・う〔まよふ〕【迷う/×紕う】
[動ワ五(ハ四)]《7が原義で、のちに「まど(惑)う」と混同された》
1 まぎれて、進むべき道や方向がわからなくなる。「山中で道に―・う」
2 どうしたらよいか決断がつかない。「進学か就職かで―・う」「判断に―・う」
3 心が乱れてよくない方向へ行く。欲望・誘惑に負ける。「色香に―・う」
4 死者の霊が成仏できないでいる。「―・わず成仏して下さい」
5 区別がつかなくなる。まぎれる。
「霜を待つ籬の菊の宵の闇に置き―・ふ色は山の端の月」〈新古今・秋下〉
6 秩序なくあちこちへ行ったり来たりする。
「上の御局に参りちがふ気色どもしげく―・へば」〈源・花宴〉
7 布の織糸が弱り、糸が乱れかたよる。
「御褥の少し―・ひたるつまより」〈源・若菜下〉
[類語]惑う・戸惑う・迷わす・惑わす・思い惑う・迷妄・迷夢
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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まよ・うまよふ【迷・紕】
- 〘 自動詞 ワ行五(ハ四) 〙
- ① 布の織糸が弱って織目が片寄る。布糸がゆるんで、地が薄くなる。すき間ができる。まゆう。
- [初出の実例]「風の音の遠き我妹が着せし衣手本(たもと)のくだり麻欲比(マヨヒ)来にけり」(出典:万葉集(8C後)一四・三四五三)
- ② 髪や糸筋などが、もつれ乱れる。きちんとしていたものが乱れる。
- [初出の実例]「御髪すまして〈略〉まよふ筋もなくて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
- ③ 物が複雑に入りまじる。錯雑する。
- [初出の実例]「峯巖(たけいはほ)紛(マヨヒ)錯(まし)りて」(出典:日本書紀(720)応神二二年九月(熱田本訓))
- ④ 物が入り乱れて、移り動く。さまよう。右往左往する。混雑する。
- [初出の実例]「まかで参りする車、多くまよふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)
- ⑤ まぎれて区別がつかないようになる。まがう。
- [初出の実例]「わだの原こぎ出でて見ればひさかたの雲井にまよふ沖つ白浪」(出典:今鏡(1170)五)
- ⑥ 目標が不確かなためにまごまごする。さまよう。
- [初出の実例]「いづかたの雲路に我もまよひなむ月の見るらむこともはづかし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)
- ⑦ 判断を下しかねる。どうしてよいかと心が乱れる。あれこれと思い悩む。途方(とほう)にくれる。
- [初出の実例]「しめゆひし小萩がうへもまよはぬにいかなる露にうつる下葉ぞ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)東屋)
- ⑧ 煩悩や悪い誘惑などに心をまどわす。煩悩に妨げられて悟れない。また、成仏(じょうぶつ)できない。誘惑される。「金にまよう」「女にまよう」
- [初出の実例]「をかしからぬ身をすてやらでふる程にながきやみにや又まよひなん」(出典:山家集(12C後)中)
迷うの補助注記
布の織目がゆるんで糸が片寄るというのが原義で、これから転じて、物事や心の整理がつかなくなる、の意に用いられるようになり、のちに「まどう(惑)」と混同された。
迷うの語誌
→「まどう(惑)」の語誌
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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