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逃亡婚 とうぼうこんelopement marriage

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

逃亡婚
とうぼうこん
elopement marriage

婚姻の一形態。自由に選択した配偶者との婚姻が,特に娘の共同体によって承認されない場合,男女が合意のうえで共同体から離脱することによって婚姻の承認を得ることができるというもの。日本では,駆落ちと呼ばれる。社会的に承認されないだけでなく,ときには制裁まで加えられる場合もあるが,多くは一種の社会的慣習と認められている。すなわち,通常の婚姻規定が制度的に矛盾を多く内包する場合,ときにはその規定の運用を緩和する機能を有している。したがって,当事者たちは一定期間追跡から逃げおおせたり,追跡者と格闘して勝ったり,娘が妊娠したりすることにより,共同体の公的な承認を得ることができる。オーストラリアやメラネシアの一部では,女性のほとんどが老人に独占されているため,若い男女は婚姻の際,慣行的にこのような形式をとっている。また,結納金や婚資が完納できない場合に,若い男女がこれを行うこともある。 (→駆落ち婚 )  

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

逃亡婚
とうぼうこん

婚姻の一形態であり、男女がともにその居住地から逃げて達成する婚姻。いわゆる「駆落(かけおち)」はこれに含まれる。原因はいくつか考えられる。まずその婚姻がなんらかの規制により禁止されている場合で、各社会で定められている婚姻規制や、その社会の規範に反する場合がこれにあたる。次に両親など親族の同意を得られない場合で、婚姻に際して親族の決定権が大きい社会では頻繁におこる。あるいは、婚姻に際して相手側(しばしば妻となる女性側)に高額の婚資を支払うことが義務づけられており、これを支払うことができない場合、一つの方法として逃亡婚が行われる。逃亡婚を行った夫婦は社会的制裁が加えられることが多いが、そのあとで、黙認などなんらかの妥協がなされる場合があり、あらかじめそれを見込んでする逃亡婚もある。さらにはそれが発展して慣習化している例もある。ネパールの一地域では婚姻の際、妻側に多額の金を支払うことになっているが、他人の妻と逃亡するのがもっとも支払いが少なくてすむので、これが頻繁におこる。また、日本の一部の地域で伝統的に行われてきた「嫁盗み」とよばれるような習慣は、承認されにくい結婚を周囲に認めさせるという意味では、逃亡婚に近い側面がある。[豊田由貴夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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