過去七仏(読み)カコシチブツ

デジタル大辞泉 「過去七仏」の意味・読み・例文・類語

かこ‐しちぶつ〔クワコ‐〕【過去七仏】

釈迦と、その以前にこの世に現れたという、毘婆尸びばし尸棄しき毘舎浮びしゃぶ拘留孫くるそん拘那含牟尼くなごんむに迦葉かしょうの六仏。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「過去七仏」の意味・読み・例文・類語

かこ‐しちぶつクヮコ‥【過去七仏】

  1. 〘 名詞 〙 仏語釈迦如来が世に現われるまでに出た過去の仏。毘婆尸仏(びばしぶつ)、尸棄仏(しきぶつ)、毘舎浮仏(びしゃぶぶつ)拘留孫仏(くるそんぶつ)、倶那含牟尼仏(くながんむにぶつ)迦葉仏(かしょうぶつ)釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)七仏総称釈迦牟尼仏は現在仏であるが、すでに入滅して過去に属しているとする後代の考え方によって加えられたと思われる。過去仏(かこぶつ)
    1. [初出の実例]「和歌の曼陀羅を図絵して、過去七仏を書たてまつり、又卅六人の名字をかきあらはせり」(出典:古今著聞集(1254)五)
    2. [その他の文献]〔観仏三昧経‐一〇〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「過去七仏」の意味・わかりやすい解説

過去七仏 (かこしちぶつ)

過去に出現した七人の仏。その一人釈迦は真理を悟った人(仏)の一人にすぎないということが含意される。過去七仏の思想は仏教史の早期から現れているが,釈迦以前の六仏についてはその実在性が明らかでなく,伝記も釈迦のそれと同工異曲である。七仏のそれぞれに独自の道場樹(菩提樹)がある。七仏の名と道場樹を仏の出現順に示すと次のようになる。毘娑尸(びばし)Vipaśyin・パータリ樹,尸棄(しき)Śikhin・プンダリーカ樹,毘舎浮(びしやぶ)Viśvabhū・サーラ樹,俱留孫(くるそん)Krakucchanda・シリーシャ樹,俱那含牟尼(くなごんむに)Kanakamuni・ウドゥンバラ樹,迦葉(かしよう)Kāśyapa・グローダ樹,釈迦牟尼Śākyamuni・ピッパラ(アシュバッタ)樹。バールフットサーンチー仏塔の浮彫に七仏が道場樹で示されている。七仏中の最後四仏は賢劫(げんごう)千仏のうちの最初の四仏とされる。法顕は舎衛城付近の四仏の遺跡に言及している。
(こう)
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「過去七仏」の意味・わかりやすい解説

過去七仏
かこしちぶつ

かつてこの世に現れたといわれる七仏。毘婆尸仏(びばしぶつ)、尸棄仏(しきぶつ)、毘舎浮仏(びしゃぶぶつ)、拘留孫仏(くるそんぶつ)、拘那含牟尼仏(くなごんむにぶつ)、迦葉仏(かしょうぶつ)、釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)の七仏をいう。このうち初めの三仏は、過去の住劫(じゅうごう)(荘厳劫(しょうごんごう))の末に出世し、それ以下の四仏は、現在の住劫(賢劫(げんごう))に出世したといわれる。

高橋 壯]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「過去七仏」の意味・わかりやすい解説

過去七仏
かこしちぶつ

釈尊以前に出現した7人の仏のこと。七仏ともいう。それらは毘婆尸 (びばし) 仏,尸棄 (しき) 仏,毘舎浮 (びしゃふ) 仏,拘留孫 (くるそん) 仏,拘那含牟尼 (くなごんむに) 仏,迦葉仏,釈迦牟尼仏である。これらの仏陀が釈尊の戒めとして共通して受持していたのが,「諸悪莫作,衆善奉行,自浄其意,是諸仏教」という偈戒で,七仏通戒偈として現在も仏教徒に読誦されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android