(読み)こう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


こう

サンスクリット語 kalpa音写。劫波,劫簸などとも記される。非常に長い時間という意味。上下四方 40里の城いっぱいにけしを満たし,3年ごとに1粒ずつけしを取除いて,すっかりけしがなくなってしまう時間を劫と説明したのを芥子 (けし) 劫という。さらに上下四方 40里の岩を,天女が天から3年ごとに下ってきて,羽衣でひと触れしているうちについにその岩がすりへってなくなってしまうのを磐石劫という。また,芥子劫,磐石劫を小劫とし,上下四方 80里の城と岩にたとえる場合を中劫,さらに 120里にたとえるのを大劫とする場合がある。

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デジタル大辞泉の解説

こう〔コフ〕【×劫】

《〈梵〉kalpaの音写「劫波」の略。「ごう」とも》仏語。きわめて長い時間。古代インドにおける時間の単位のうち、最長のもの。
囲碁で、一目双方交互に取りうる場合、一方で取られたあと、すぐ他方で取り返すことのできない約束で一目を争うこと。

ごう〔ゴフ〕【×劫】

こう(劫)

ごう【劫】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ゴウ(ゴフ)(慣) コウ(コフ)(呉) キョウ(ケフ)(漢)
〈ゴウ〉
おびやかす。おどす。「劫略
きわめて長い時間。「劫火劫初永劫
〈コウ〉
おびやかす。「劫奪
長い時間。「億劫塵劫(じんこう)
囲碁で、石の取り方の一。「劫材」
[難読]億劫(おっくう)

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世界大百科事典 第2版の解説

こう【劫】

インド古代の巨大な時間の単位サンスクリットのカルパkalpaの漢訳。1劫の長さは仏典では種々の比喩で説かれている。〈盤石(ばんじやく)劫〉の比喩によると,1辺1由旬(ゆじゆん)yojana(約7km)の立方体をした硬い岩を柔らかいカーシ産の綿布で100年に1度ずつ払いつづけ,岩がようやく磨滅しても1劫はまだ終わらない。劫は元来〈期間〉の意味なので,上記の劫以外に,これと長さの異なる種々の劫がある。

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大辞林 第三版の解説

こう【劫】

[1] kalpa の音訳「劫波」の略〕 〘仏〙 ほとんど無限ともいえるほどの長い時間の単位。具体的な長さは諸説あって一定しない。
[0][1] 囲碁で、交互に相手方の一石を取ることができる形。これを反復すると勝負がつかないため、一手以上他に打ったあとでなければ取れない。 「 -を立てる」
[句項目] 劫を経る

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


ごう

サンスクリット語カルパkalpaの音写「劫簸(ごうは)」の略。仏教やインド思想で、通常の年月日時では算出することのできないとてつもなく長い時間をいう。そのことを仏典では、芥子(けし)劫といわれる譬喩(ひゆ)で説明している。それは、1辺が1ヨージャナ(由旬(ゆじゅん)。約7キロメートル)の立方体の大城に芥子粒を満たし、長寿の人が100年に一度きてそれを1粒ずつ取り出してついに芥子粒がなくなっても、なお劫は尽きないというのである。「未来永劫(みらいえいごう)」とはこのような長大な時間をさす。刹那(せつな)の反対語。[高橋 壯]

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精選版 日本国語大辞典の解説

こう コフ【劫】

〘名〙 (kalpa の音訳「劫波(こうは)」の略)
仏語。きわめて長い時間。一般に、雑阿含経の説くところに従って、天人が方一由旬(四十里)の大石を薄衣で百年に一度払い、石は摩滅しても終わらない長い時間といい、また、方四十里の城にケシを満たして、百年に一度、一粒ずつとり去りケシはなくなっても終わらない長い時間という。なお、劫には小中大の大きさの段階があり、また劫の性質としてそれぞれ二十小劫からなる成(じょう)・住・壊(え)・空の四劫があって、循環すると説かれる。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「こふの変はるまでおとづれ給はぬを」
※太平記(14C後)一八「百千劫(コウ)の間に舌を暢(の)べて説く共尽くべからず」 〔無量寿経‐下〕
② 囲碁で、一目(いちもく)を双方で交互に取りうる形のとき、先方に取られたあと、すぐには取り返せない約束のため、他の急所に打って、相手がそれに応じたすきに、一目を取り返すかたちで一目を争うこと。また、その繰り返し。劫争い。
※源氏(1001‐14頃)空蝉「碁うちはてて〈略〉このわたりのこうをこそなどいへど」

ごう ゴフ【劫】

〘名〙 ⇒こう(劫)

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