タービン(読み)たーびん(英語表記)turbine

翻訳|turbine

デジタル大辞泉 「タービン」の意味・読み・例文・類語

タービン(turbine)

流体羽根車に当て、流体のエネルギー回転運動に変換して動力を得る原動機水力タービン蒸気タービンガスタービンなど。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「タービン」の意味・読み・例文・類語

タービン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] turbine ) 流体の有するエネルギーを機械的動力に変換する機械で、流体から力を受ける多数の羽根を備えた羽根車がその主要部となっているもの。水タービン、蒸気タービン、ガスタービンなどがある。
    1. [初出の実例]「前途掘進の最も速かならむことを企図し、坑口前に百五十馬力の『タルビン』を設置し」(出典:風俗画報‐二三四号(1901)各坑口の位置及構造)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「タービン」の意味・わかりやすい解説

タービン
turbine

流体のもつエネルギーを仕事に変換して,動力を発生する回転式の機械。高速で回転する回転体を主要部とし,これには全円周にわたって密に植えられた羽根の列が数段備わっている。流体は車室に固定して設けられた通路で膨張して高速の噴流となり,ちょうどうまく回転羽根に吹きつけるように作られている。このように,車室に固定され高速流を作る部分と回転羽根列とが1組となって仕事を発生する基本要素を構成し,圧力段と呼ばれる。大きい圧力差でも,複数の圧力段をおくことによって,圧力を順次落として仕事をとり出すことが可能である。

 タービンには蒸気タービン,ガスタービン,水車,空気タービンなどがある。蒸気タービンは蒸気のエネルギーを利用したもので,火力発電所で代表される蒸気原動所の動力発生部として用いられ,ボイラーで発生した高温高圧の蒸気を復水器の低圧まで膨張させる間に仕事を発生する。ガスタービンは高温高圧の燃焼ガスを大気圧まで膨張させて動力を発生するのに用いる。ふつうにガスタービンというときには,ガスタービンサイクルを構成する一連の機器,すなわち,空気圧縮機,燃焼器および動力発生をつかさどるタービンをまとめ,熱機関として一体としたものを指すことが多い。航空機に用いられるジェットエンジンもガスタービンの一種である。空気タービンは圧縮空気のエネルギーを利用して仕事を発生させるものであり,また,水車は落差を利用して高い所にある水の位置エネルギーを仕事に変えるもので水タービンとも呼ばれ,もっぱら水力発電に用いられている。

 タービンはその主要部を回転運動によって構成できるので構造が比較的簡単である。このため高速回転が容易であるほか,大流量の流体,言い換えれば大流量のエネルギーを連続的に処理できるという特徴をもち,したがって高回転数・大出力が必要な用途に適している。一方,定速かつ定負荷運転に向いており,速度や負荷が変わった場合には効率の低下を免れないという短所もある。このような特性は発電機駆動用原動機としてかっこうで,実際,蒸気タービンは電力需要の拡大と軌を一にして発達してきた。現在,1台の出力が100万kWを超える蒸気タービンが作られている。陸用ガスタービンの実用化は比較的新しいが,今日では,単機出力10万kW程度のものが発電用として稼働している。現在,大型ディーゼルエンジンでも1台で4万kW程度の出力まで達成可能であるが,これを超えるような動力を必要とする大型船舶の推進機関にはタービンを用いざるを得ず,巨大な歯車減速装置プロペラシャフトの回転数まで減速せねばならない。
ガスタービン →空気タービン →蒸気タービン →水車
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「タービン」の意味・わかりやすい解説

タービン

数枚ないし数十枚の羽根をもつ車に流体を吹きつけて回転させ,流体のもつエネルギーを有用な機械的動力(回転運動)に変換する機械の総称。作動流体の種類によりガスタービン蒸気タービン水車などの別がある。
→関連項目タービニア号ターボジェットエンジンターボファンエンジンターボプロップエンジン半径流タービン

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タービン」の意味・わかりやすい解説

タービン
たーびん
turbine

流水、蒸気、ガス、空気などの運動エネルギーを有用な機械的仕事に変換する回転型の機械。19世紀初頭、フランスのブールダンLaude Burdin(1790―1873)が新型の水車をタービンとよんだのが始まりである。高所のダムから水を落とし、それを翼に当てて流水のエネルギーを利用するのが水力タービンで、その形式によりペルトンタービン、フランシスタービン、カプランタービンなどがある。円筒の周囲に多数の羽根を植え付け、それに蒸気をノズルより噴き付けて高速回転を得るのが蒸気タービンで、その形式によりド・ラバルタービン、パーソンスタービンなどがある。いずれのタービンも衝動型と反動型とがある。高温・高圧のガスの有するエネルギーを利用するのがガスタービンである。また高圧の圧縮空気の有するエネルギーを利用するのが空気タービンである。水力タービン、蒸気タービンとも火力発電所、原子力発電所などで発電機を動かすのに利用されている。

[中山秀太郎]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タービン」の意味・わかりやすい解説

タービン
turbine

各種の流体のもっているエネルギーを有用な機械的動力に変換する回転式の原動機の総称。蒸気やガスなどの各種の流体を回転体のまわりに備付けた数枚ないし数十枚の羽根や翼に当てて高速回転させる。圧縮空気の圧力を利用する空気タービン,水流の落差を利用する水力タービン (→水車 ) ,高温高圧蒸気を利用する蒸気タービン,高温ガスを利用するガスタービンなど各種のタービンがあり,いずれも工業用の動力源として盛んに利用されている。特に蒸気タービンは火力発電所で,水力タービンは水力発電所で発電用として用いられている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android