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遺棄罪 いきざいAussetzung

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

遺棄罪
いきざい
Aussetzung

老幼,身体不自由疾病のため,扶助を必要とする者を保護のない状態におき,その者の生命・身体に危険を生じさせることによって成立する犯罪刑法は 217条以下に単純遺棄罪保護責任者遺棄罪,尊属遺棄罪,遺棄致死傷罪の類型を設けている。遺棄とは,人を現在ある状態から保護を欠く状態に移すことをいい,保護する義務のある者が急病人を山中に放置して立去る場合などは,場所の移転を伴わなくてもこれにあたる。抽象的危険犯と解され,遺棄行為があれば生命・身体に具体的危険が生じなくても犯罪が成立する。

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デジタル大辞泉の解説

いき‐ざい〔ヰキ‐〕【遺棄罪】

保護責任者でない者が、老人・幼児・障害者や保護の必要な傷病人を、あえて移送や隔離するなどして保護のない状態にする罪。刑法第217条が禁じ、1年以下の懲役に処せられる。単純遺棄罪。→保護責任者遺棄等罪

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百科事典マイペディアの解説

遺棄罪【いきざい】

老幼,身体障害,疾病のため保護を要する者を保護のない状態におき,その生命,身体を危険にさらす罪(刑法217〜219条)。1年以下の懲役。保護責任ある者が犯したとき,死傷の結果を生じさせたときは刑が加重される。

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大辞林 第三版の解説

いきざい【遺棄罪】

老幼・身体障害または疾病のため扶助を要する者を遺棄し、生命・身体を危険にさらす罪。保護責任のない者の場合は、被遺棄者を危険な場所に移したときのみ処罰されるが、保護責任のある者については、置き去りにした場合も処罰される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

遺棄罪
いきざい

老年者、幼年者、身体障害者または病者のように保護を要する者を無保護の状態に置き、その生命や身体に危険を生じさせる罪。遺棄罪には、現行刑法上、単純遺棄罪(刑法217条)、保護責任者遺棄罪(同法218条)、遺棄等致死傷罪(同法219条)がある。単純遺棄罪はこれら保護を要する者を危険な場所に移置(移動させること)して、無保護の状態に置く場合であり、保護責任者遺棄罪はこれらの者を保護すべき法的責任を有する者が移置または置き去り(その場に放置すること)にしたり、その生存に必要な保護をしない場合であり、遺棄等致死傷罪は、これらの罪によって被害者を死傷させる場合である(なお、この場合の保護責任の根拠として、法令、契約、先行行為など慣習、条理があげられる)。このうち、単純遺棄罪は、たとえば他人である幼児、高齢者、病人を山中に捨てに行く場合などが典型であり、保護責任者遺棄罪は、たとえば親子関係、医師と患者の関係などに見られる。本罪に関していわゆるひき逃げ死傷事件、すなわち、自動車を運転中に通行人をはね、負傷させた者が生命に危険があるにもかかわらず、これを放置して逃走するケースが問題となる。実務上、単にそのまま逃走したにすぎない場合には、道路交通法の救護義務違反罪(同法117条)によって処理されるが、被害者をいったん自分の自動車に乗せ、より危険性の高い場所に放置した場合には、保護責任者遺棄罪によって処罰される。また、被害者に致傷の結果があれば遺棄等致死傷罪が成立し、さらに死傷について故意があれば、傷害罪(刑法204条)または殺人罪(同法199条)にあたる。 [名和鐵郎]

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世界大百科事典内の遺棄罪の言及

【遺棄】より

… また近時,要扶養者に最低限の金銭的保護を与えながら,身体的な介護や精神的な結びつきを拒否するという〈遺棄状態〉のケースが顕在化している。このような〈遺棄状態〉は,夫婦間だけでなく,老親と子,未成熟子とその親の間にもひろがっており,それらのなかには,刑法上の遺棄罪に該当する事例も少なくないと考えられる。こうした〈遺棄状態〉を生み出す社会的背景として,貧困と人間関係のこじれの2要素があげられる。…

※「遺棄罪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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