岐阜県郡上市八幡(はちまん)町の盆踊り。7月なかばから9月初めまでの間の延べ33夜、八幡町内で輪になって踊る。ことに8月13日から16日までは徹夜で踊る。国指定重要無形民俗文化財。踊りの種類には、「川崎」(三味線なし7拍)、「三百」(三味線あり11拍)、「春駒(はるこま)」(三味線あり8拍)、「松坂」(三味線なし7拍)、「猫の子」「やっちく」「甚句(じんく)」「騒ぎ」「ゲンゲンバラバラ」など10種類ある。囃子(はやし)は大太鼓、笛、小太鼓、拍子木で、三味線の入る曲もある。古くは楽器を使わず歌だけであったという。軽快なテンポのもの、哀愁に満ちたもの、ユーモラスなものと曲趣も豊かで、扮装(ふんそう)も思い思いで頬(ほお)かぶり、尻(しり)はしょりなど自由である。「郡上の八幡出て行くときは 雨も降らぬに袖(そで)しぼる」という川崎の歌詞はとくに知られる。
[萩原秀三郎]
岐阜県郡上郡八幡(はちまん)町(現,郡上市)で盆を中心に盛大に踊られる風流(ふりゆう)踊の盆踊。〈郡上の盆踊〉ともいう。寛永年間(1624-44)に,時の領主遠藤但馬守慶隆が,士民融和をはかるために盆踊を奨励し,毎年盂蘭盆会(うらぼんえ)に踊らせたのがはじまりと伝えられている。現在では7月上旬の〈発祥祭(はつしようさい)〉から踊りはじめ,9月上旬の〈踊り納め〉まで,2ヵ月間にわたり日を決めて踊られている。最もにぎわうのは,8月13日から4日間にわたって行われる盂蘭盆会の徹夜踊である。踊りには,《川崎》《三百》《春駒》《猫の子》《さわぎ》《甚句》《げんげんばらばら》《ヤッチク》《松坂》の曲があり,これに《古調川崎》を加えると10種類となる。もとは歌だけで踊られたが,今日では,大太鼓・小太鼓・笛・三味線・拍子木の囃子(はやし)が入る。三味線のつかない曲もあり,《古調川崎》は歌だけである。
執筆者:高橋 秀雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報
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