酸化砒素(読み)サンカヒソ(その他表記)arsenic oxide

デジタル大辞泉 「酸化砒素」の意味・読み・例文・類語

さんか‐ひそ〔サンクワ‐〕【酸化×砒素】

砒素酸化物総称。三酸化二砒素(通称亜砒酸三酸化砒素化学式As2O3)、五酸化二砒素(通称、無水砒酸・五酸化砒素、化学式As2O5)がある。

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精選版 日本国語大辞典 「酸化砒素」の意味・読み・例文・類語

さんか‐ひそサンクヮ‥【酸化砒素】

  1. 〘 名詞 〙 砒素の酸化物。
  2. 三酸化二砒素。化学式 As2O3 等軸晶系、単斜晶系の二つの結晶形無定形ガラス状のものとがある。いずれも無色常温で安定。有毒。殺虫剤、ガス脱硫剤、ガラス工業、医薬品に用いられる。三酸化砒素。酸化第一砒素。無水亜砒酸。亜砒酸。白砒。
  3. 五酸化二砒素。化学式 As2O5 白色、無定形の固体。潮解性で水に溶けやすい。強熱すると三酸化二砒素になる。五酸化砒素。酸化第二砒素。無水砒酸。

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改訂新版 世界大百科事典 「酸化砒素」の意味・わかりやすい解説

酸化ヒ(砒)素 (さんかひそ)
arsenic oxide

ヒ素の酸化物の総称。酸化数ⅢとⅤの化合物,三酸化二ヒ素と五酸化二ヒ素とが知られている。四酸化二ヒ素As2O4も存在するというが詳しいことはわかっていない。三酸化二ヒ素As2O3亜ヒ酸ともいわれる(〈亜ヒ酸〉の項参照)。

化学式As2O5。三酸化二ヒ素を濃硝酸で酸化してから蒸発乾固させ,250~300℃で脱水する。315℃以上で三酸化二ヒ素と酸素に分解する。比重4.09,白色無定形粉末。潮解性で,水に溶けてヒ酸を形成する。水溶液を濃縮して冷却すると,種々の条件によってH3AsO4・1/2H2O,H3AsO4・2H2O,As2O5・5/3H2Oの結晶が成長する。酸,アルカリ,エチルアルコールに溶ける。動物実験では毒性はAs2O3よりは弱いが取扱いには注意を要する。
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化学辞典 第2版 「酸化砒素」の解説

酸化ヒ素
サンカヒソ
arsenic oxide

酸化ヒ素(Ⅲ):As2O3(197.84).三酸化二ヒ素,無水亜ヒ酸ともいう.天然ひ石や硫化鉱物の製錬で生じる煙灰中に存在する.白ヒ,ヒ華などいろいろな名称でよばれている.低温形の立方晶系のものは融点275 ℃.密度3.89 g cm-3.高温形の単斜晶系(転移点221 ℃)のものは融点313 ℃,沸点465 ℃(昇華).密度4.02 g cm-3.気体では800 ℃ 以下ではAs4O6分子とされている.水には常温で2% ほどの濃度に溶け亜ヒ酸水溶液となる.殺虫剤,医薬品,農薬顔料(エメラルドグリーン),染料,脱硫剤,触媒,防腐剤,ガラス(脱色)などに用いられる.猛毒で致死量は0.1 g といわれる.[CAS 1327-53-3]【】酸化ヒ素(Ⅴ):As2O5(229.84).五酸化二ヒ素ともいう.ヒ酸の加熱脱水でつくられる.400 ℃ 以上では三酸化二ヒ素と酸素に分解する.潮解性で水に易溶で,水に溶けてヒ酸水溶液となる.ガラス成分に用いられる.有毒.[CAS 1303-28-2]

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