野麦街道(読み)のむぎかいどう

日本歴史地名大系 「野麦街道」の解説

野麦街道
のむぎかいどう

信州街道とも江戸街道ともいい、高山から野麦峠(標高一六七二メートル)越で信州松本に通ずる道。「斐太後風土記」によれば、古代律令制の時代に高山・江名子えなこ美女びじよ峠、見座みざかぶと黒川くろかわ一之宿いちのしゆく鳥屋とりや(現大野郡朝日村)猪之鼻いのはな中之宿なかのしゆくかみほら日和田ひわだ(現同郡高根村)から信濃に至る道筋は、飛騨国府から信濃国府への官道東山道飛騨支路であったという。また同書は、高山より六里八町離れた一之宿の地名について、飛騨国府から信濃国に向かう官使が最初に宿泊する地であったと説明する。この道が中世になると鎌倉街道とよばれ、北陸諸国から飛騨、そして関東の鎌倉とを結ぶ重要な交通路であったといい、大八賀だいはちが川沿いの山口やまぐち辺りや長野県南安曇みなみあずみ奈川ながわ村では鎌倉街道に関する伝承が聞かれるし、「益田郡誌」の日和田の八幡神社の項に、当地より信濃国へ通ずる往古の官道を鎌倉街道ともいい、その遺跡があると記す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「野麦街道」の意味・わかりやすい解説

野麦街道
のむぎかいどう

飛騨街道一部をなし,近世野麦峠を越えるルートとして開かれた街道。信濃と飛騨を結び,長野県松本市から梓川沿いに奈川渡ダム,野麦峠を経て岐阜県高山市にいたる。古代には松本から梓川沿いに旧安房峠を越えた (現在の国道 158号線) 。

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