サンスクリット名Vajrayakṣa。五大明王の一尊で,北方不空成就如来の教令輪身(きようりようりんしん)(忿怒身)とされる。烏蒭沙(瑟)摩(うすさま)明王と同体と考える説もある。身色は青黒色で三面六臂(ぴ)あり,片足を挙げて立つ。正面の顔は五眼があり,第1手は左手に五鈷鈴(ごこれい),右手に五鈷杵(しよ),第2手は左に弓,右に箭(や),第3手は左に輪宝,右に剣を持つ。悪を除き息災の祈願を目的として,この尊を本尊に金剛夜叉法を修する。
執筆者:関口 正之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
五大明王の一尊。北方の尊。サンスクリット語でバジラヤクシャVajra-yakaといい、金剛薬叉とも音写する。密号を調伏(ちょうぶく)金剛という。三面六臂(ろっぴ)像で、中心面は五眼、手に弓、箭(や)、剣(つるぎ)、輪印、五鈷杵(ごこしょ)、金剛鈴を持つ。烏枢沙摩(うすさま)明王と同体とする説がある。『瑜祇経(ゆぎきょう)』下巻にこの尊を中心とする金剛夜叉曼荼羅(まんだら)図を説くが、日本ではあまり制作されなかった。
[真鍋俊照]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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