金科玉条(読み)キンカギョクジョウ

デジタル大辞泉 「金科玉条」の意味・読み・例文・類語

きんか‐ぎょくじょう〔キンクワギヨクデウ〕【金科玉条】

揚雄「劇秦美新」から》最も大切な法律規則。絶対的なよりどころとなるもの。「父の教えを金科玉条とする」

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精選版 日本国語大辞典 「金科玉条」の意味・読み・例文・類語

きんか‐ぎょくじょうキンクヮギョクデウ【金科玉条】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「科条」は法律の意 ) 金科玉条。きわめて大切な法律。重要な規則。守るべききまり。現代では、自分主張立場を守るための、絶対のよりどころの意に用いる。
    1. [初出の実例]「五経三史示其正路、金科玉条防其邪逸」(出典秘蔵宝鑰(830頃)中)
    2. 「旧派の面々も、其の金科玉条とするものを無視せられて」(出典:近代批評の意義(1906)〈島村抱月〉)
    3. [その他の文献]〔揚雄‐劇秦美新〕

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四字熟語を知る辞典 「金科玉条」の解説

金科玉条

非常に大切なきまり。違反しないようにしようと思う考え方

[使用例] その著書中の一節、その演説中の一言は、ほとんどキリスト教徒バイブルを引照するが如く、共産党員によって金科玉条の如く引用せられている[荒畑寒村*ロシアに入る|1924]

[使用例] 金閣が焼けたら……、金閣が焼けたら、こいつらの世界は変貌し、生活の金科玉条はくつがえされ、列車時刻表は混乱し、こいつらの法律は無効になるだろう[三島由紀夫金閣寺|1956]

[使用例] 「土佐高知といったらカツオタタキ」を金科玉条として、事前に高知市のタタキ名人に話をきき、最上のタタキをつくるためのレクチャーをうけてきたらしい[椎名誠*おれたちを笑え!|2015]

[解説] ある考え方が絶対視され、みんながそれに従うことがあります。ロシアの共産党員はレーニンのことばを金科玉条にしていたと、例文の[ロシアに入る]に書かれています。
 「金科玉条」とは、絶対に守ろうとする考え方などのことです。「科」も「条」も法律の条文の意味。つまり、「黄金や宝玉のようにすばらしい条文」です。漢代のようゆうの文章「げきしんしん」にあります。
 これを「きんかじょう」と誤って読む人がいます。「玉」がどこかへ行ってしまいました。「三か条」などの言い方と混同したのでしょうか。ネットで「金箇条」と書いた例を見たこともあります。人に理解してもらえない表現です。
 金科玉条とするものは、べつに政治思想でなくてもかまいません。[おれたちを笑え!]の例では「高知といったらカツオのタタキ」という考え方(?)が絶対視されています。私たちは生活の中で、知らず知らず、多くのことを金科玉条にしているようです。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「金科玉条」の意味・わかりやすい解説

金科玉条
きんかぎょくじょう

きわめて重要な法律や規則。「科条」は法律の意で、「金」「玉」はともに美称。中国、漢の揚雄(ようゆう)の『劇秦美新』に、「懿(い)律嘉量、金科玉条、神卦霊兆、古文畢発、炳煥照耀、宣臻(せんしん)に靡(なびか)ず」、注に、「善曰(いわ)く、金科玉条は法令を謂(い)うなり。金玉はこれを貴んで言う」とある。今日では一般に、自分の主張や立場を守るための、究極的なよりどころとなるものの意に用いる。

[田所義行]

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