四字熟語を知る辞典「金科玉条」の解説
金科玉条
[使用例] その著書中の一節、その演説中の一言は、ほとんどキリスト教徒がバイブルを引照するが如く、共産党員によって金科玉条の如く引用せられている[荒畑寒村*ロシアに入る|1924]
[使用例] 金閣が焼けたら……、金閣が焼けたら、こいつらの世界は変貌し、生活の金科玉条はくつがえされ、列車時刻表は混乱し、こいつらの法律は無効になるだろう[三島由紀夫*金閣寺|1956]
[使用例] 「土佐の高知といったらカツオのタタキ」を金科玉条として、事前に高知市のタタキ名人に話をきき、最上のタタキをつくるためのレクチャーをうけてきたらしい[椎名誠*おれたちを笑え!|2015]
[解説] ある考え方が絶対視され、みんながそれに従うことがあります。ロシアの共産党員はレーニンのことばを金科玉条にしていたと、例文の[ロシアに入る]に書かれています。
「金科玉条」とは、絶対に守ろうとする考え方などのことです。「科」も「条」も法律の条文の意味。つまり、「黄金や宝玉のようにすばらしい条文」です。漢代の
これを「きんかじょう」と誤って読む人がいます。「玉」がどこかへ行ってしまいました。「三か条」などの言い方と混同したのでしょうか。ネットで「金箇条」と書いた例を見たこともあります。人に理解してもらえない表現です。
金科玉条とするものは、べつに政治思想でなくてもかまいません。[おれたちを笑え!]の例では「高知といったらカツオのタタキ」という考え方(?)が絶対視されています。私たちは生活の中で、知らず知らず、多くのことを金科玉条にしているようです。
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