釜師(読み)カマシ

デジタル大辞泉 「釜師」の意味・読み・例文・類語

かま‐し【釜師】

茶の湯釜製作者のこと。室町末期に専門工が現れ、桃山時代には西村道仁にしむらどうにん辻与次郎つじよじろうなどの名工が出た。

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精選版 日本国語大辞典 「釜師」の意味・読み・例文・類語

かま‐し【釜師】

  1. 〘 名詞 〙 釜、特に茶道で用いる釜を鋳造することを業とする人。
    1. [初出の実例]「昔時より釜師(カマシ)其処に住て名誉の釜をも数々鋳出せしところなるが」(出典:辻浄瑠璃(1891)〈幸田露伴〉二)

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改訂新版 世界大百科事典 「釜師」の意味・わかりやすい解説

釜師 (かまし)

茶の湯に用いる釜を製作する鋳物師(いもじ)。釜大工ともいう。古くは釜作専業ではなかったが,室町時代以降,茶の湯の流行に伴い,京都三条釜座がおこると,釜作を専業とする鋳物師が輩出し,釜屋と称し,茶人の好みに応じた釜を鋳造するようになった。足利将軍家においては御釜師の名称も用いられたといわれるが,釜の発祥地とされる筑前芦屋下野(しもつけ)天命では金屋を称しており,いわゆる鍋・釜や梵鐘釣灯籠なども製作していたが,金屋大工が一般に釜師と称されるようになったのは,京釜が隆盛した安土桃山時代以後のことと考えられる。1700年(元禄13)に西村道冶が著した《釜師之由緒》には〈一,紹鷗時代京都天下一西村道仁,名越善正也。道仁は信長公御釜師…(略)…善正は家康公の御釜師浄味弥右衛門の元祖也〉とある。ほかに古田織部御釜師大西家,千利休御釜師辻与次郎などが著名である。西村家は京釜師として,名越家と大西家は京と江戸に分かれて栄えた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「釜師」の意味・わかりやすい解説

釜師
かまし

鉄の鋳物の茶釜(ちゃがま)(茶の湯釜)を生産する職人。茶釜師ともいう。中世の14世紀には京三条釜座(かまんざ)、天明(てんみょう)(栃木県佐野市)、芦屋(あしや)(福岡県芦屋町)が主生産地であったが、15世紀から茶の湯の盛行により需要が増加し、釜座の茶釜の鋳物師(いもじ)をとくに釜師といった。近世の17世紀では江戸や盛岡、仙台、山形、金沢、桑名などでも生産された。居職(いじょく)で、工具は鋳物師と同じである。釜屋は釜師のことでもあったが、茶釜などを釜師から仕入れて販売する商人をさすことが多かった。近代からは需要は少なくなり、盛岡などでは実用的な鉄瓶とともに製作されているが、かつての釜師は少数の美術的な作風の工芸作家となった。

遠藤元男

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