表面処理鋼板(読み)ひょうめんしょりこうはん

改訂新版 世界大百科事典 「表面処理鋼板」の意味・わかりやすい解説

表面処理鋼板 (ひょうめんしょりこうはん)

あらかじめ工場内で金属表面処理を施した鋼板のことで,主として防食目的で使われる。昔からの代表的な製品はブリキスズめっき鋼板),トタン亜鉛めっき鋼板)である。ほかにも塩ビ鋼板(塩化ビニル被覆鋼板),ティンフリー鋼板(ブリキに代わる製缶用材料として日本で開発されたもので,金属クロムクロムの水和酸化物の混合物の皮膜を処理したもの),溶融アルミニウムめっき鋼板,ターンプレートterneplate(スズと鉛の合金であるはんだ合金を被覆した鋼板),銅めっき鋼板,ホウロウ鋼板(鋼材に近い線膨張係数をもつ低温釉薬表面に加工した鋼板)などがある。表面処理鋼板の分野は長い歴史をもつ分野であるが,同時に直接需要家につながる高付加価値商品であるために,現在の鉄鋼業にとって最も技術競争の激しい分野でもある。
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百科事典マイペディア 「表面処理鋼板」の意味・わかりやすい解説

表面処理鋼板【ひょうめんしょりこうはん】

表面に,耐食性や装飾的効果向上,塗装の省略などを目的とする種々の処理を施した薄鋼板総称。めっきによるトタンブリキをはじめ,リン酸塩クロム酸塩で処理した化成処理鋼板,ビニル鋼板その他の合成樹脂被覆鋼板,合成樹脂塗料を焼付け塗装した塗装鋼板など,多く種類がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「表面処理鋼板」の意味・わかりやすい解説

表面処理鋼板
ひょうめんしょりこうはん
surface treated sheet

耐食・耐久・強化・外観美化などの目的で表面に鍍金 (めっき) ,被膜などした鋼板。亜鉛を被膜したトタン板,錫を塗膜したブリキ板は鋼鈑を電気鍍金または溶融金属の中に浸して被膜する。ガラス質の釉 (うわぐすり) を 1000℃以下で融着被膜した琺瑯 (ほうろう) には,耐食性が良いガラスライニングと耐熱性が良いセラミックコーティングとがある。合成樹脂を被膜する技術が進んだので,耐食性の美しい樹脂被膜鋼板が作られるようになり,焼付け被膜したものは耐熱性にも優れている。

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