間作(読み)カンサク(その他表記)intercropping

デジタル大辞泉 「間作」の意味・読み・例文・類語

かん‐さく【間作】

[名](スル)
畑のうねと畝との間、または株と株との間に別の作物を栽培すること。
農作物の収穫後、次の作物を作りはじめるまでの期間を利用して、野菜などを栽培すること。あいさく。

あい‐さく〔あひ‐〕【間作】

かんさく(間作)

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精選版 日本国語大辞典 「間作」の意味・読み・例文・類語

あい‐さくあひ‥【間作】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ある農作物を収穫した後、次の作物をまきつけるまでの期間に野菜などを作ること。かんさく。
    1. [初出の実例]「土性、水掛之善悪を知り、裏作、間作之有無を見分」(出典:尾張検地古伝(1775))
  3. 農作物の畝間(うねま)、または株間(かぶま)に別の農作物を栽培すること。かんさく。
    1. [初出の実例]「綿や甘藷畠の間作(アヒサク)に丈の高い唐蜀黍の植った、畦の日蔭へ道を変へて」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉夏)

かん‐さく【間作】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 混作の一つ。主要農作物の植えてあるうねの間に、他の作物を栽培すること。または、苗木が生長するまでの期間を利用して、その株の間に穀物などを栽培すること。また、その作物。
    1. [初出の実例]「すぎなを麦の間作(カンサク)ですか」(出典:春と修羅(1924)〈宮沢賢治〉習作)
  3. 輪作の一つ。主要農作物を栽培し終えて、その畑地の空いている期間を利用して野菜などを栽培すること。また、その作物。

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改訂新版 世界大百科事典 「間作」の意味・わかりやすい解説

間作 (かんさく)
intercropping

ある作物の栽培期間中にその畝間あるいは株間に他の作物を栽培すること。果樹,茶,桑などの永年生の作物の間に野菜,ムギ,コンニャク等を栽培する全期間作と,ムギの間にダイズ,おかぼ,サツマイモタバコ等を作るように,栽培の一部の時期が重なる短期間作の二つの型がある。気象や経営の条件によっていろいろな作物の組合せが行われる。その目的は,適期に播種して生育期間を確保し収量を高めること,前作によって寒害・干害風害病虫害などから後作を保護すること,土地利用率を高めることである。イネ科作物とマメ科作物,あるいは深根性作物と浅根性作物のような合理的な養分吸収を目的とした作物組合せもある。しかし,作業がしにくい,後作に対して日照通風が不足するなどの欠点もある。耕地の少ない日本農業にとっては重要な作付け様式であるが,マルチ栽培や機械化の普及により少なくなった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「間作」の意味・わかりやすい解説

間作
かんさく

混作の一種で,1作物の間に他の作物を栽培すること。その際,前から作付けされていたものを前作あるいは前作物といい,あとから作付けされるものを後作あるいは後作物という。土地の利用を集約し,また幼苗が生長した作物の保護を受けることにもなり,地力の維持に有効な場合もある。しかし,作業上の不便が多いほか,後作物が生長して日光や通風をさえぎり,地温を低め特殊肥料分の欠乏を招いて,前作に害を与えることもある。輪作の場合にも前作,後作という呼称が用いられる。

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百科事典マイペディア 「間作」の意味・わかりやすい解説

間作【かんさく】

ある作物の収穫前に,その条間に他の作物を栽培すること。前者を前作(上作),後者を後作(下作)という。たとえば麦類の間にトマト,キュウリなどを栽培する場合,麦類は前作,野菜類は後作である。土地利用度を高め,後作植物の幼苗を保護する利点があるが,作業がしにくい,後作に対して日照や通風が不足するなどの欠点もある。近年,マルチ栽培や機械化の普及により少なくなった。
→関連項目単作

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「間作」の意味・わかりやすい解説

間作
かんさく

ある作物のうね間あるいは株間にほかの作物を作付けすること。この場合、2作物の収穫物は別々に扱われ、一般には栽培時期や収穫期がずれる。間作方式は、土地利用率を高めるばかりでなく、前作の存在により後作の初期生育が有利となることが多い。たとえば、ムギ類のうね間にスイカやタバコの苗を移植したり、サツマイモの苗を挿すと活着が優れる。一方、後作は前作の日陰になったり、大型機械の導入がむずかしいなどの欠点がある。

[星川清親]

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