関所手形(読み)せきしょてがた

百科事典マイペディアの解説

関所手形【せきしょてがた】

関所の通行許可証。たんに手形・証文ともいう。もとは一般に過所(かしょ)と称されたが,室町時代からこの称が現れる。江戸時代には大きく鉄砲手形女手形に分類できる。鉄砲手形は鉄砲や武具類を搬入する際に必要であり,女手形は女性の通行証文であったが,広義には手負(ておい)・乱心の者の通行,死骸の運搬などに必要な手形も含んだ。一般の男性は関所手形が不要であったが,関所での取調べの煩雑を避けるために領主や名主の発行した証文を携行する場合もあった。
→関連項目往来手形

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世界大百科事典 第2版の解説

せきしょてがた【関所手形】

関所の通行許可証。古代,中世には過所(かしよ)と称するのが一般的であるが,室町時代からこの名称がみられるようになる。関所切手とか単に手形,証文ともいう。江戸時代の関所手形は大きく分類すると,鉄砲手形と女手形である。鉄砲手形は鉄砲や武具類を江戸方面に搬入する際に必要で,幕府老中だけが発行権を有していた。女手形は女性の通行証文をいうが,広義には手負(ておい)・乱心の者の通行,首や死骸の運搬に必要な手形をも含めた。

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大辞林 第三版の解説

せきしょてがた【関所手形】

江戸時代、関所を通る際に示した身元証明書。関所通り手形。関手形。関所切手。関所札。関札。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

関所手形
せきしょてがた

関所の通行許可証。古代、中世に過所、過書という関所などの通行許可証があり、室町時代に関所手形がみられるが、一般化したのは江戸時代である。江戸時代の関所手形は関所切手、手形、証文ともいい、その設定の目的は、鉄炮(てっぽう)が江戸に搬入され、また人質である大名の妻子が江戸から逃れるのを警戒し取り締まることにあった。そこで関所手形は鉄炮手形と女手形が主で、後者の発行が多かった。大坂では、町の惣年寄(そうどしより)が関所手形を請う婦人の身元を吟味し、人主(ひとぬし)及び年寄五人組より証文をとり、これを町奉行(ぶぎょう)に差し出し、そこから手形を得て本人に交付することとなっていた。江戸から出発する婦人には、一定の手続を経て幕府留守居(るすい)などが発行していた。書面は、発行者が旅行者の身元を保証して通行許可を関所役人に申請する形式であった。東海道箱根および新居(あらい)の関所がもっとも厳重であった。なお、一般の男子は関所手形を必要としなかった。[渡辺信夫]

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世界大百科事典内の関所手形の言及

【往来手形】より

…江戸時代の旅行者の旅行許可書で,名主や所定の役人が発行した。往来手形には旅行者の氏名・年齢・居住地のほか,所属する旦那寺や旅の目的などが記され,関所手形と兼用できるしくみのものもあり,なかには旅行中の死亡事故に際しての葬り方にまで言及している場合もある。とくに旅先の旅籠屋での宿改めに利用された。…

※「関所手形」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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