デジタル大辞泉
「関節遊離体」の意味・読み・例文・類語
かんせつ‐ゆうりたい〔クワンセツイウリタイ〕【関節遊離体】
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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「関節遊離体」の解説
かんせつゆうりたいかんせつねずみ【関節遊離体(関節鼠) Loose Body, Joint Mouse】
[どんな病気か]
主として軟骨や骨の小片が、関節内に遊離して動きまわるものを、関節遊離体あるいは関節鼠といいます。
このようなことがおこる原因としては、離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)、骨軟骨腫症(こつなんこつしゅしょう)、骨軟骨骨折などがありますが、そのほか、変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)の骨棘(こっきょく)(骨の変形にてできる骨のトゲ)が折れたり、特殊な関節の病気で骨がこわれておこることもあります。
X線写真に、1個ないし数個の遊離体が見えるので、診断は容易です。
●離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)
関節軟骨の下にある骨の組織が栄養障害におちいって壊死(えし)し、軟骨とともにはがれ落ちる状態で、成長期の子どもや20歳代の青年によくおこります。
以前は、局所の循環障害が原因と考えられていましたが、最近では、くり返す関節への小さな外力がおもな原因とされています。
少年野球のピッチャーの肘関節(ちゅうかんせつ)などのように、まだ発育途中の関節を酷使するスポーツ障害として、代表的なものです。よくみられるのは、膝(ひざ)や肘(ひじ)の関節ですが、まれに足の関節にもみられます。
ふつうは、1つの関節だけにおこりますが、数か所の関節に多発することもあります。
●骨軟骨腫症(こつなんこつしゅしょう)
関節包(かんせつほう)(関節をおおっている袋)の内側にある滑膜組織(かつまくそしき)に、腫瘍性(しゅようせい)変化(悪性ではありません)がおこり、軟骨や骨組織に変化し、これが関節内に遊離するものです。
膝関節(しつかんせつ)に多くみられますが、肘、足および股関節(こかんせつ)にもみられます。
ふつう、軟骨中に骨の成分も含んだ遊離体がたくさんみられます。しかし軟骨だけのこともあり、この場合は軟骨腫症(なんこつしゅしょう)と呼ばれます。
●骨軟骨骨折(こつなんこつこっせつ)
スポーツ時や転倒などの外傷によって、関節軟骨をそぐような力がはたらき、関節の骨と軟骨が同時に骨折し、はがれ落ちて遊離体となるものです。
膝関節にある膝蓋骨(しつがいこつ)(お皿)によくおこり、受傷直後から関節内に出血がみられ、スポーツなどの活動を続けることができなくなります。
[症状]
関節の痛みと動きの制限が、おもな症状です。遊離した小片は、関節内のくぼみに落ち込んだり、ひっかかったりして、関節の正常な動きを妨げます。
関節を動かすときに、痛みやひっかかりを感じ、関節が伸ばせない、曲げられないなどの症状がみられます。
遊離体が関節内をネズミのように動き回るのを感じることもあり、ときに関節の表面に移動してきた遊離体を外から触れることもあります。
また、膝関節では、その刺激によって水がたまってくることもあります。
[治療]
離断性骨軟骨炎では、遊離する前に発見された場合は、スポーツ活動を中止し、自然修復を待つことがたいせつです。これには6か月から1年かかります。
遊離体となったときは、小さくて関節にとって不要であれば、除去します。これには、侵襲(しんしゅう)(からだへの負担)が少なく、回復も早い関節鏡を用いた手術が一般的に行なわれています。
遊離体が大きければ、関節を切開して、遊離体をもとの位置にもどし、ねじなどで固定する手術を行ないます。
骨軟骨腫症では、関節鏡視下手術あるいは関節切開手術で、多数の遊離体を取り除きます。
骨軟骨骨折では、離断性骨軟骨炎と同様、摘出するか整復固定術を行ないます。
膝蓋骨に発生した場合は、骨軟骨骨折をおこしやすい素因(関節がゆるい、X脚(エックスきゃく)など)を矯正(きょうせい)する手術を、同時に行なうこともあります。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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