各種火器から身体の胴部等を防護するために,身体につけて用いるもの。第1次大戦末期に鋼鉄製の胸当てタイプのものがドイツ軍等で一部使用され,警察用としては1920年代に,おもにアメリカで使われはじめた。第2次大戦においては,アメリカ軍が爆撃機乗員用として使用し効果をあげた。一般の地上部隊用として現在使われているベストタイプのものは,朝鮮戦争末期にアメリカ軍が採用し,ベトナム戦争で多く使われた。軍用のものは主として砲弾や地雷の破片から身体の胴部を防護するものであるが,重くて暑苦しいのでアメリカ等一部の国を除いてはあまり普及していない。これに対して,低速の拳銃弾に対する防護が主体である警察用等には,各国が使用している。現用の防弾チョッキは,ナイロン等のポリアミド系繊維(商品名ケブラー)布を多層に重ねたものが主体で,警察等で使われる衣服の下に着るもので2kg前後,軍用のもので3~5kg,さらにセラミックスや特殊鋼で補強したものでは10kgを超えるものがある。
執筆者:鈴木 英夫
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