日本大百科全書(ニッポニカ) 「防災情報」の意味・わかりやすい解説
防災情報
ぼうさいじょうほう
防災情報は、自然災害による被害を軽減するため発表される情報のことで、各市町村長が発令する避難に関する情報と、気象庁が発表する特別警報、警報、注意報、情報、および気象庁と他機関が共同で発表する予報や情報があり、災害から身を守るためには、これらの防災情報を有効に活用することが重要である。防災情報を避難行動に結び付けやすいよう、2019年(平成31)3月から防災情報を5段階の警戒レベルに分けている。各市町村長が発令する避難に関する情報では、高齢者等避難が警戒レベル3、避難指示が警戒レベル4であり、避難は警戒レベル4の段階で終わっていることを想定している。警戒レベル5に至ったときはすでに災害が発生している、または切迫している状況で、命を守るために各自で最善の行動をとることになる。
気象庁が発表する気象情報は、同じく気象庁が発表する警報・注意報に先だって注意を呼びかけたり、警報・注意報を補完したりするための情報であるが、このうち記録的短時間大雨情報(数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を、観測または解析したときに発表)は大雨警報発表時に発表される。また、都道府県と気象庁が共同で発表する土砂災害警戒情報(土砂災害発生の危険度が非常に高まったときに発表)も大雨警報発表時に発表され、警戒レベル4相当である。
防災上重要な河川について、河川の増水や氾濫(はんらん)に対する水防活動の判断や避難行動の参考となるように、国土交通省や都道府県と気象庁が共同で発表する指定河川洪水予報があるが、このなかで、氾濫発生情報が警戒レベル5、氾濫危険情報が警戒レベル4である。
特別警報では、台風や集中豪雨などで数十年に一度の大雨が予想される場合に気象庁が発表する大雨特別警報が警戒レベル5、高潮特別警報、高潮警報が警戒レベル4相当である。
また、気象庁が発表する大雨警報や洪水警報、高潮警報に切り替える可能性がある高潮注意報が警戒レベル3相当である。避難に時間がかかる人とその支援者は避難を開始し、その他の人は避難の準備を整えるということになる。
このほか、大雨による災害が発生するおそれがあると予想したときに気象庁が発表する大雨注意報や洪水注意報、高潮注意報が避難に備えてハザードマップ等により自宅等の災害リスクや避難行動を確認する警戒レベル2、気象庁が警報級の現象が起きる可能性を発表している早期注意情報が災害への心構えを高める警戒レベル1である。
[饒村 曜 2023年9月20日]