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防空識別圏 ぼうくうしきべつけんair defense identification zone; ADIZ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

防空識別圏
ぼうくうしきべつけん
air defense identification zone; ADIZ

国土防衛上の必要から,航空機敵味方識別のために特定の距離に設けられている空の防衛圏。日本では航空自衛隊がこれを設けており,日本列島の沿岸約 100km以上,400~600kmまでの範囲が含まれる。この識別圏に国籍不明機が飛行していた場合,管制官は相手の所属の確認,警告,さらにはスクランブル(緊急発進)の措置を講じることになっており,これに関連して自動警戒管制システム JADGE(→自動警戒管制組織 BADGE)が運用されている。

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知恵蔵の解説

防空識別圏

国防上の必要性から、各国がその領空とは別に定めた空域。略称ADIZと呼ばれる。常時防空監視を行い、あらかじめ飛行計画を提出せずここに進入する航空機に識別と証明を求め、領空侵犯の可能性があるものとみなせば軍事的予防措置などを行使し統制するという範囲。
日本の防空識別圏はおおむね領海(12カイリ)周辺と重なるが、北方領土や小笠原諸島などは領土・領空上であっても防空識別圏には入っていない。航空機の速度では12カイリ程度の距離は数分を要しない。このため、防空識別圏は、主権の及ぶ領海よりも一般には広く設定されることが多い。防空識別圏に無断進入した航空機に対しては、戦闘機の緊急発進(スクランブル)などにより警告や威嚇をもって圏内からの排除が行われる。ただし、防空識別圏であるかどうかにかかわらず、領空外で迎撃・撃墜などの攻撃を行うことはできない。また、これとは別に民航機の航空交通安全のために国際的に割り当てられ、各国が分掌管理する飛行情報区(FIR)があり、日本では国土交通省航空局の所轄する管制空域がある。国外から飛来する航空機は、管制機関への飛行計画を届け出るとともに、計画外の経路をとる場合は自衛隊の防空監視機関などに通報することが求められている。
なお、防空識別圏は領空のように国際法に定められたものではなく、各国が独自に設定しているに過ぎない。更に、その範囲が必ずしも公知されているとは限らない。しかしながら、複数の国家の防空識別圏が交錯すると、航空管制の衝突や哨戒の空白が生じるなど、その運用に様々な支障をきたす。このため、国際常識として空域の一定の切り分けや運用上の合意がなされている。
2013年11月、中国が東シナ海に設定した防空識別圏は、これを大きく逸脱するものとして問題視されている。

(金谷俊秀  ライター / 2013年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

防空識別圏

海洋に接する国・地域が防空のため独自に設定できる空域。領空(沿岸から約22キロの領海上空)よりも外側に張り出して設定されることが多い。領空に向かって空域内を飛ぶ航空機には飛行計画の事前提出が求められる。事前通告なしに空域内に侵入した航空機は、戦闘機による緊急発進(スクランブル)の対象となる。

(2014-01-12 朝日新聞 朝刊 1総合)

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デジタル大辞泉の解説

ぼうくう‐しきべつけん〔バウクウ‐〕【防空識別圏】

領空に進入してくる航空機の識別・位置の確認・飛行指示などを行うため、各国がその領空の外側に設定している一定の空域。ADIZ(air defense identification zone)。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぼうくうしきべつけん【防空識別圏 air defense identification zone】

ADIZと略称される。防空上の必要に基づき,進入する航空機の国籍の識別,位置の確認および所要の飛行指示などを行うよう定められた空域をいう。一般に領空を含みその外側に設置される。なお,航空機の運航を援助するためICAO(イカオ)では飛行情報区を設置しているが,ADIZと直接関係はない。飛来する航空機に対し一般に次の要領で処理する。(1)ADIZ内を飛行する航空機は事前に航空交通管制機関(日本は運輸省)に飛行計画などを提出し,航空交通管制機関はこれを防空組織(日本は自衛隊)に通報する。

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大辞林 第三版の解説

ぼうくうしきべつけん【防空識別圏】

海洋に面した国が安全維持のために領空を越えた公海上空に設定する一定の空域。この空域への侵入に関する事前報告を要求し、違反時には国内法上の処罰を適用する。 ADIZ 。

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知恵蔵miniの解説

防空識別圏

領空侵犯を防ぐために、各国が領土から12カイリ(約22キロメートル)の領空より外側に定めている空域。ADIZと略される。事前申告なく領空に侵入を図ろうとする他国の航空機の識別や位置確認、統制を行い、自国の戦闘機が緊急発進を行うかどうかの判断基準としている。国際法で定められた領空とは異なり、防空識別圏には国家の主権が及ばないため、この領域では不審な他国機に対する攻撃は認められておらず、警戒・警告のみが行われる。2013年11月、中国が沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定。日本の領空や防空識別圏と重なるだけでなく、韓国の防空識別圏とも一部重なることから、国際的な常識を逸脱した挑発行為として波紋が広がっている。

(2013-11-26)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

防空識別圏
ぼうくうしきべつけん
Air Defense Identification Zone

略称ADIZ。防空上必要な空域を定めて、その空域を飛行する航空機はあらかじめ航空交通管制機構にフライト・プラン(飛行計画)を通報し、国籍の識別、位置の確認、飛行の指示を受ける。防空識別圏はそのような防空上の管制空域のことをさしている。防空識別圏に侵入した識別不能な国籍不明機は、日本の場合、航空自衛隊機が緊急発進をし、識別確認を行い、領空侵犯をしないように誘導を行っている。防空識別圏を領空と混合してはならず、一般には前者は後者よりもずっと広く設定される。これは国籍不明機が領空を実際に侵犯してから迎撃機を発進させてもまにあわないことと、公海上であってもいずれかの国が管制業務を行わねばならないからである。
 日本の防空識別圏は、極東アジアの防空を担当していたアメリカ第五空軍の設定したものを航空自衛隊が引き継いだものである。航空自衛隊ではこれを日本防空地域とよび、北部防衛区域、中部防衛区域、西部防衛区域、南西防衛区域(沖縄)の4区域に分け、それぞれの区域に航空警戒管制部隊を配置し、常時、飛行する航空機の警戒監視を行っている。[剣持一巳・野木恵一]

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