防臭剤(読み)ボウシュウザイ

デジタル大辞泉 「防臭剤」の意味・読み・例文・類語

ぼうしゅう‐ざい〔バウシウ‐〕【防臭剤】

悪臭異臭を減じ、または消すのに用いる薬剤活性炭葉緑素など臭気を吸収するものと、石炭酸樟脳油しょうのうゆ芳香油など強い香気で臭気をうち消すものとがある。臭気止め。
[類語]消臭剤

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精選版 日本国語大辞典 「防臭剤」の意味・読み・例文・類語

ぼうしゅう‐ざいバウシウ‥【防臭剤】

  1. 〘 名詞 〙 悪臭や異臭を消したり、抑制したりする薬剤。木炭や石灰のように臭気を吸着させるもの、薄荷・石炭酸・樟脳油などのように強い芳香で臭気をまぎらすものがある。臭気止め。
    1. [初出の実例]「防臭剤の樟脳の臭ひがプンプンしてゐたばかりだったが」(出典:読書放浪(1933)〈内田魯庵〉銀座と築地の憶出)

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百科事典マイペディア 「防臭剤」の意味・わかりやすい解説

防臭剤【ぼうしゅうざい】

悪臭や異臭を減じたり消したりするために用いられる薬剤。人体に用いるものには,口中の異臭を消すために歯みがき粉やチューインガムに添加するハッカクロロフィル,外用薬の特異臭を消すために添加する芳香性の精油などがある。公衆衛生的見地から汚水処理場などに使用するものには,ホルマリン,松葉油(またはクレゾール),イソプロピルアルコールアセトンなどの混合液があり,これは防腐殺菌の効果もある。ほかにクロロフィル(葉緑素),変性アルコール,竜脳,ショウノウ(樟脳)サリチル酸メチルなどを適当に混合し防腐剤・殺菌剤を加えたものもある。便所などに常置する固形のパラジクロルベンゼンなどには殺虫効果もある。→脱臭

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「防臭剤」の意味・わかりやすい解説

防臭剤
ぼうしゅうざい
deodorant

一般に香料などを擬和剤として用い、悪臭を感覚的に消す擬和脱臭剤を意味する。悪臭の原因となる化学物質は、硫化水素メルカプタンなどの硫黄(いおう)化合物、アンモニアスカトールアミンなどの窒素化合物、およびギ酸、酢酸プロピオン酸酪酸などの脂肪酸である。

 これらの悪臭原因物質を物理的に吸着剤(活性炭や酸性白土)を用いて除去したり、酸化剤(塩素さらし粉など)で化学的に分解したり、殺菌剤によって悪臭を放つ物質の根源を化学・生物学的に断つものを狭義の脱臭剤といい、これと擬和脱臭剤を含めて広く脱臭剤とよぶ。擬和脱臭剤としては松材より抽出されるマツのにおいをもつパイン油pine oilと、安息香酸チンキ、サリチル酸メチル、竜脳(ボルネオール)、樟脳(しょうのう)白油、シトロネラール油などの香料配合剤、それにバラやスズランなどの花の香りをもつ合成香料などがある。

[野村正勝]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「防臭剤」の意味・わかりやすい解説

防臭剤
ぼうしゅうざい
deodorant

悪臭を防ぐ薬剤。便所に用いるパラジクロロベンゾールや片脳油のように,不快な臭気を強い芳香で紛らせるものを消臭剤,冷蔵庫に入れる活性炭や口内の臭気をとるクロロフィリンのように,臭気を吸取るものを脱臭剤といったりするが,防臭,消臭,脱臭の区別ははっきりせず,混用されている。エアゾール式に噴霧して,悪臭物質と化学的に結合させて,臭気をとる製品も出ているが,効果は一時的である。工業的には動植物油脂の精製に臭気抜きは欠かせない。

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