酪酸(読み)らくさん(英語表記)butyric acid

  • 酪酸 butyric acid

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

炭素原子数4個の直鎖の一塩基飽和脂肪酸。化学式 CH3(CH2)2COOH 。腐敗臭をもった無色の油状液体。糖類や乳酸の発酵によって生じる。水に可溶。沸点 162℃。炭水化物や乳酸の酪酸発酵によって生成する。天然には家畜の乳脂中にわずかに存在する。合成香料用エステルの原料やワニスの製造に用いられる。異性体にイソ酪酸 CH3CH(CH3)COOH がある。

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デジタル大辞泉の解説

有機酸の一。不快臭をもつ油状の液体。正酸・イソ酪酸の2種の異性体がある。正酪酸CH3CH2CH2COOHは、バターなどにグリセリンエステルとして含まれ、酪酸菌発酵によっても生成。水・エタノールに溶ける。合成香料などの原料。イソ酪酸(CH32CHCOOHは、植物中に遊離酸またはエステルとして存在。水に溶けにくい。

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百科事典マイペディアの解説

n‐酪酸CH3CH2CH2COOHとイソ酪酸(CH32CHCOOHの2異性体がある。n‐酪酸は特有のにおいをもつ無色の液体で,融点−5.26℃,沸点164.05℃。家畜の乳脂中にグリセリンエステルとして含まれるためこの名がある。合成香料の原料,乳化剤などに使用。n‐ブチルアルコールの酸化,糖蜜またはデンプン酪酸発酵によりつくられる。イソ酪酸は遊離状またはエステルとして植物中微量存在。融点−47℃,沸点154.5℃。

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世界大百科事典 第2版の解説

脂肪族カルボン酸の一つで,n‐酪酸CH3CH2CH2COOHとイソ酪酸(CH3)2CHCOOHの2異性体がある。n‐酪酸はバターに含まれるので,発見者であるフランスのM.E.シュブルールによって,バターのラテン語būtӯrumから命名された。和名の酪酸も牛酪(バター)からとられた。 n‐酪酸はグリセリンエステルとしてウシヤギなどの家畜の乳脂中に含まれている。融点-5.26℃,沸点164.05℃の腐敗臭をもつ無色の液体。

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大辞林 第三版の解説

ブタノールの酸化によって得られる不快な酸敗臭をもつ油状の液体。化学式 C3H7COOH バターなどの乳脂肪中にグリセリドとして含まれる。酪酸菌による糖類の酪酸発酵によっても生成する。香料の合成原料などに用いる。ブタン酸。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

脂肪族カルボン酸の一つ。酪酸(正酪酸、n-酪酸)とイソ酪酸の二つの異性体がある。いずれも水溶液は酸性を示す。酪酸はブタン酸ともよばれる。不快なにおいをもつ無色の液体で、水、エタノール(エチルアルコール)、エーテルのいずれとも任意の割合で混じり合う。グリセリドとしてバターなどの動物の乳脂中に含まれているほか、いろいろなアルコールのエステルとして植物精油中にもみいだされる。草食性哺乳類(ほにゅうるい)は、消化器中におけるセルロースやヘミセルロースなどの炭水化物の酪酸菌による発酵で酪酸を合成して、栄養源としている。工業的には、ブタノール(ブチルアルコール)やブチルアルデヒドを酸化して合成している。この酸化を実験室的に行うには、酸化剤として過マンガン酸カリウムを用いる。合成香料、ワニスの製造原料となる。[廣田 穰]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 有機酸の一つ。炭素原子四個の飽和一塩基脂肪酸。化学式 CH3CH2CH2COOH バターが酸敗したとき少量生成する。不快臭のある液体で、合成香料やワニスの原料となる。〔現代語大辞典(1932)〕

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化学辞典 第2版の解説

butanoic acid.C4H8O2(88.11).CH3CH2CH2COOH.正酪酸,ブタン酸ともいう.異性体にはイソ酪酸(CH3)2CHCOOHがある.グリセリドとして,動物の乳脂中に含まれているほか,糖や乳酸の酪酸発酵過程で生成する.ブチルアルコールを過マンガン酸カリウムで酸化すると得られる.油状の液体.融点-7.9 ℃,沸点163.5 ℃.0.959.1.3991.pKa 4.82(25 ℃).水,エタノール,エーテルに可溶.不快な腐敗臭をもち,わずかではあるが毒性,刺激性がある.合成香料やワニスの製造原料となる.イソ酪酸は,植物の精油中に遊離またはエステルとして存在する.イソプロピルアルコールから容易に合成される.液体.沸点154 ℃.0.9504.1.3930.pKa 4.85.水に難溶,エタノール,クロロホルム,エーテルに可溶.正酪酸同様の性質を有する.[CAS 107-92-6][CAS 79-31-2:イソ酪酸]

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