阿弥派(読み)アミハ

デジタル大辞泉 「阿弥派」の意味・読み・例文・類語

あみ‐は【×弥派】

室町幕府同朋衆どうぼうしゅうで、水墨画を制作した能阿弥芸阿弥相阿弥の3代とその周辺画家

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改訂新版 世界大百科事典 「阿弥派」の意味・わかりやすい解説

阿弥派 (あみは)

室町時代,足利将軍家に仕えた同朋衆のなかに,能阿弥(真能),芸阿弥(真芸),相阿弥(真相)という3代にわたって諸芸に秀でた人々がいた。この3人を三阿弥と呼び,彼らによって制作された水墨画を主とした絵画と,その影響をうけた周辺の画家たちの画風を総称して,阿弥派の作品または阿弥派画風と称するようになった。しかしこれらの作品に共通する様式的特徴はかならずしも明確にとらえることはできず,したがって鑑賞用語としてはともかく,美術史上の概念を示す呼称にはいたっていない。通常,阿弥派画風と呼ばれているものは,大徳寺大仙院室中の間の襖絵に現存する水墨山水画にみられる柔軟な中国南宗画風の作例であり,他の伝承作品も同系統のものが多い。これらは明らかに中国宋代の米元章,米元暉(二米)の画風を踏襲するものである。しかし一方,芸阿弥筆《滝山水図》(根津美術館)や阿弥派による周文流楷体山水画が存在することから,家芸としての画題を滝山水とした真山水画風を軸に,しだいに行・草体の画風を展開させたところに阿弥派の役割を認めることができよう。
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百科事典マイペディア 「阿弥派」の意味・わかりやすい解説

阿弥派【あみは】

室町時代,絵画,茶の湯など諸芸の専門家の一派時宗(じしゅう)の門徒で,形式上出家をして南無阿弥陀仏の6字の名号からとった阿弥を名前につけた。足利義教以降将軍家の同朋(どうぼう)衆幕府唐物奉行(からものぶぎょう)として鑑定,画作,諸道具の使用法等の相談にあずかった。狭義には応永〜大永年間にかけ(15―16世紀),約100年続いた能阿弥芸阿弥相阿弥の3代(三阿弥)の水墨画の画風をいい,将軍家所蔵の宋元画規範とした柔軟な筆法山水画を特徴とする。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「阿弥派」の意味・わかりやすい解説

阿弥派
あみは

日本絵画史の用語で,室町時代,足利将軍家の同朋能阿弥芸阿弥相阿弥系譜をいう。画系として一定の様式にくくれるわけではないが,将軍家所蔵の中国画を管理し,鑑定,表装座敷飾りなどにあたる特別の地位についたため一括して呼ばれる。将軍義政の趣味的世界に集約される東山文化のなかで,義政に直結する立場にあったため,絵画界で一つの勢力を形成したと考えられ,名声を博した。また茶の湯に及ぼした影響も大きい。

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