阿智(読み)あち

改訂新版 世界大百科事典 「阿智」の意味・わかりやすい解説

阿智[村] (あち)

長野県南西部,下伊那郡の村。2006年1月旧阿智村が浪合(なみあい)村を編入,09年3月清内路(せいないじ)村を編入して成立した。人口7036(2010)。

阿智村中部の旧村。下伊那郡所属。人口6003(2005)。天竜川の支流阿智川流域に位置する。古代には東山道の神坂(みさか)越えの要地として阿智駅が置かれ,江戸時代には宿場町駒場を中心に栄えた地である。現在も国道153号,256号線が通じ,中央自動車道の走る交通の要地で,園原(そのはら)インターチェンジは1992年に開設。木曾山脈南端を占め,西端に恵那山(2191m)がそびえる。米作養蚕を中心に農林業が営まれていたが,近年畜産,野菜,果実などの生産が伸びている。工場誘致も進められ,工業生産も増加傾向にある。岐阜県との境にある神坂峠はかつて東山道最大の難所として知られ,頂上には古代祭祀遺跡(史),近くには箒木の伝説の残る園原がある。また駒場は武田信玄終焉しゆうえん)の地といわれる。1973年に湧出した昼神温泉を拠点に観光開発が図られている。

阿智村北部の旧村。下伊那郡所属。人口777(2005)。木曾山脈南部,天竜川支流の阿智川上流域に位置し,東は飯田市に接する。典型的な山村で,ほぼ全域山林原野であり,かつては木炭の生産が盛んであったが,近年は葉タバコ,シイタケなどの栽培が中心である。近年,精密機械部品工場が進出しているが,伝統産業の木工業や手作り花火の生産も行われる。

阿智村南部の旧村。下伊那郡所属。人口768(2005)。天竜川支流の和知野(わちの)川上流域を占める。木曾山脈南東麓に位置し,村域の大部分林野で,中央部を東流する浪合川沿いにわずかに耕地が開ける。中心集落の浪合は三州街道(現,国道153号線)の宿駅として栄えた。かつては広大な山林・原野を活用して薪炭生産が盛んであったが,1950年代後半から不振となり過疎化も進んだ。近年,別荘地,スキー場,ゴルフ場などの観光開発が行われている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「阿智」の意味・わかりやすい解説

阿智(村)
あち

長野県南部、下伊那郡(しもいなぐん)にある村。2006年(平成18)浪合村(なみあいむら)を、2009年清内路村(せいないじむら)を編入。東を飯田(いいだ)市に隣接し、中央アルプスの南方一帯を占める。駒場(こまば)が中心集落で、古代は東山道(とうさんどう)が神坂峠(みさかとうげ)を越え、信濃(しなの)に入る玄関口にあたっていた。近世は三州街道の宿駅をなしていたが、街道交通の衰退により村勢は停滞した。1975年(昭和50)中央自動車道が開通し、飯田市の郊外化が進んでいる。村域内に、昼神(ひるがみ)温泉、治部坂(じぶさか)高原スキー場のほかゴルフ場、キャンプ場がある。面積214.43平方キロメートル、人口6068(2020)。

[小林寛義]


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