除く(読み)ノゾク

デジタル大辞泉 「除く」の意味・読み・例文・類語

のぞ・く【除く】

[動カ五(四)]
取ってなくする。取りのける。除去する。「障害を―・く」「不良品を―・く」「花壇雑草を―・く」
その範囲に加えないようにする。除外する。「未経験者は―・く」「母を―・いてみんな賛成した」
邪魔者などを殺す。「奸臣かんしんを―・く」
[可能]のぞける
[用法]のぞく・のける――「障害物を除く(のける)」のように、じゃまな物を取りのける意では相通じて用いられる。◇「除く」はその場からなくすという意に重点がある。「不安を除く」「障害を除く」など、抽象的な事柄については「のける」は使わない。◇「のける」はその場所から他の位置に移すこと。「ちょっと、そこにある椅子いすをのけてください」を「除いて」とは言わない。◇類似の語に「どける」がある。「どける」は「のける」とほぼ同じだが、「のける」のほうが古くからの言い方で、話し言葉としては「どける」が一般化している。ただし「ずばりと言ってのける」「見事にやってのける」のような補助動詞としては「どける」は使わない。
[類語](1のけるどける払う排する取り除く取り除ける取り去る切り取る切り抜く/(2引く割り引く差し引く差っ引く値引く控除マイナス

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精選版 日本国語大辞典 「除く」の意味・読み・例文・類語

のぞ・く【除】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 カ行五(四) 〙 ( 古くは「のそく」 )
    1. 取って、そこから出す。取ってすてる。排除する。
      1. [初出の実例]「大御足跡を 見にくる人のいにし方 千世の罪さへ 滅ぶとぞいふ 乃曾久(ノソク)とぞ聞く」(出典仏足石歌(753頃))
    2. 資格官位などを取りあげる。取り消す。省く。
      1. [初出の実例]「二条院の御時殿上のぞかれたりしつぎのとしの春臨時祭の舞人にて」(出典:隆信集(1204頃)雑一)
    3. その中に加えないようにする。除外する。
      1. [初出の実例]「物食ぶる間、寝入などして候ふ程を除ては、申し付て候ふ事なれば」(出典:今昔物語集(1120頃か)一九)
      2. 「その児子の為にとて、別に除き置けるものなり」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉八)
    4. 罪を犯したり謀反を起こしたりした者を殺す。誅す。
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙 [ 一 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「Nozoque, uru(ノゾクル)」(出典:ロドリゲス日本大文典(1604‐08))

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