中国、内モンゴル自治区中央部にある山脈。西は天山(てんざん)山脈に始まり、中国西部を東西に走る山脈群の東端にあり、内モンゴル高原の南縁を取り囲むように延長約600キロメートルにわたり山々が連なる。古生代の造山運動によって生じた山脈であるが、北へ傾く傾動地塊となっており、内陸流域と外洋流域の分水界である。西部は狼山(ろうざん)山脈とよばれ、中部から東部にかけて2列に分かれ、北をセルテン山脈、南を大青山(だいせいざん)山脈とよぶ。高度は1500~2000メートル、大青山山脈の最高峰は2400メートルに達する。北面は緩やかな勾配(こうばい)で内モンゴル高原に続くが、南側には黄河(こうが)流域の河套(かとう)平原へ比高1000メートルの急斜面を落としている。南麓(なんろく)にはフフホト、パオトウなどの都市があり、黄河北岸に沿って1958年に開通した包蘭線(パオトウ―蘭州(らんしゅう))が走る。中央部北麓のバインオボは優良な鉄鉱産地である。この山地は昔から中国北辺の防衛線として重要視され、東部地区に沿って秦(しん)・漢時代に万里の長城が築かれた。
[酒井敏明]
中国,内モンゴル自治区の山脈。狼山,大青山などの山脈から成り,北にモンゴル高原,南にオルドス(鄂爾多斯)高原がひろがる。黄河中流部が山脈南側を東流。東西約600km,標高1000~2000m,狼山山脈の呼和辺什格山は2364m。石炭,鉄鉱石などの埋蔵も多い。古来,中国北辺防衛の第一線にあたり,秦・漢時代の長城はこれに沿って築かれた。
執筆者:小野 菊雄
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