デジタル大辞泉
「北面」の意味・読み・例文・類語
ほく‐めん【北面】
[名](スル)
1 北に面すること。北向き。「湖に北面する山」
2 《昔の中国で、君主は南に、臣下は北に面して座ったところから》臣下または弟子の座。また、臣下として主君につかえること。
3 北面の武士の詰め所。
4 「北面の武士」の略。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ほく‐めん【北面】
- 〘 名詞 〙
- ① 北に面すること。また、北の面。北向き。北側。きたおもて。
- [初出の実例]「御二盧舎那仏像前殿一、北面対レ像」(出典:続日本紀‐天平勝宝元年(749)四月甲午)
- [その他の文献]〔孟子‐万章・上〕
- ② ( 中国で、臣下・弟子は北に面して天子・師に対面したところから ) 臣下または弟子の着座の作法。また、臣下として服従し、あるいは弟子として師事すること。
- [初出の実例]「太政大臣昇レ自二西階一。進受レ醴面レ柄。進二御座前一、北面祝曰」(出典:新儀式(963頃)四)
- [その他の文献]〔史記‐高祖本紀〕
- ③ 上皇の御所の北方にある、北面の武士の詰所。
- [初出の実例]「於レ今者遣二武士・検非違使并下人等於河原一、可レ被レ禁歟、別当奉行、只今候二北面一人々郎等及千余人、皆遣二河原一了」(出典:中右記‐元永元年(1118)五月六日)
- ④ 「ほくめん(北面)の侍」の略。
- [初出の実例]「北面の居たる方に和ら行て臨けば」(出典:今昔物語集(1120頃か)一六)
- ⑤ 興福寺などの諸院家に警備などのために置かれた下級の僧。
- [初出の実例]「諸院家等之北面法師与同篇に被レ存歟」(出典:大乗院寺社雑事記‐文明一三年(1481)九月一〇日)
- ⑥ 遊女の下等なもの。
- [初出の実例]「竹の丞と云し北面の女郎、親方の茶釜を衛士の焼火とくゆらせ」(出典:浮世草子・傾城仕送大臣(1703)二)
きた‐おもて【北面】
- 〘 名詞 〙
- ① 北の方角。北に向いていること。または、その場所。きたうけ。きなむき。
- [初出の実例]「宮よりきたおもて、大きなる山のほとり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上上)
- 「くもる日や野中の花の北面〈猿
〉」(出典:俳諧・続猿蓑(1698)春)
- ② 宮中や寝殿造りの家などで、北側のへや。奥の方にあり、女房などのいる内輪のへや。
- [初出の実例]「『御前なる人北おもてへ』との給へば、皆往ぬ」(出典:落窪物語(10C後)三)
- ③ 院の御所を警固する武士の詰所。ほくめん。また、そこに詰める武士。北面(ほくめん)の武士。
- [初出の実例]「鳥羽の院うせさせ給し時は、きたをもてにさぶらひとさぶらふ下臈どもかきたてて」(出典:今鏡(1170)三)
- 「さてきたをもてには、武士為義、清盛など」(出典:愚管抄(1220)四)
- ④ ( 妻はあまり表に出ないで、多く奥まった北の部屋にいたところから ) 他人の妻のこと。奥方(おくがた)。北の方(かた)。〔塵袋(1264‐88頃)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「北面」の読み・字形・画数・意味
【北面】ほくめん
北向き。臣下の礼。〔礼記、郊特牲〕君の南
するは、陽に答(むか)ふの義なり。臣の北面するは、君に答ふなり。字通「北」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の北面の言及
【北】より
…史実をみても,日光東照宮は江戸から真北に当たる霊廟であり,〈北の政所(まんどころ)〉〈北の方(かた)〉〈北の対(たい)〉〈北の台(だい)〉などの尊称は貴人(大臣,大将,公卿など)の妻室の居所から出た呼び名であった。また,〈北面(きたおもて)〉とは,女性のいる勝手口(奥向き,ないしょの意もある)をさす。たとえば,《枕草子》に,宮仕えしている女房の局(つぼね)に通ってくる恋人の男がそこで食事するのははなはだみっともないと叙した文章の末尾に〈里などにて,北面よりいだしては,いかがはせん。…
【北面の武士】より
…北面とは,院の御所の北面を詰所として上皇の側近に仕え,身辺の警衛あるいは御幸に供奉(ぐぶ)した地下(じげ)の廷臣,衛府の官人らをいう。院司の一つで院の北面とも。…
※「北面」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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