旧国名。現在の宮城県のほぼ全域と岩手県の一部にあたる。東は太平洋に面し、北は陸中、西は羽前(うぜん)、南は磐城(いわき)の各国に接する。1868年(明治1)12月7日付けの太政官(だじょうかん)布告により、陸奥(むつ)国が「広く教化を施し、風俗を移易し、人民撫育(ぶいく)の道を厚く」するとの理由で5国に分けられたときの1国。初め柴田(しばた)、名取(なとり)、宮城、黒川、賀美(かみ)、玉造(たまつくり)、志田、遠田、栗原、登米(とよね)、牡鹿(おしか)、桃生(もものう)、本吉(もとよし)、気仙(けせん)の14郡よりなる。1869年8月、石巻(いしのまき)県、登米県を建置、1870年9月、石巻県を廃して登米県へ合併、このほか桃生県なども置かれたが、71年11月、従来の諸県を廃して、牡鹿、桃生、遠田、志田、賀美、黒川、宮城、名取、柴田の9郡と磐城国3郡をもって仙台県とし、気仙、本吉、登米、栗原、玉造の5郡と陸中国3郡をもって一関(いちのせき)県が成立、翌72年1月、仙台県を宮城県と改称、一関県は水沢県を経て磐井(いわい)県となり、76年4月、前述の同県陸前5郡を宮城県へ編入、同時に磐城3郡を磐前(いわまえ)県へ移管、同年5月、気仙(けせん)郡を岩手県へ移し、同8月、磐城3郡を宮城県へ再編入し、現在に至る。
[菊池克美]
1868年(明治元)陸奥国を分割して新設された国。現在の宮城県の大部分と岩手県南東部。当初は柴田・名取(なとり)・宮城・黒川・賀美(かみ)・玉造(たまつくり)・栗原・遠田・志田・桃生(ものう)・牡鹿(おしか)・登米(とめ)・気仙(けせん)・本吉(もとよし)の14郡が属した。翌年涌谷(わくや)県・栗原県・桃生県・白石県・江刺県と新仙台藩領にわかれる。新仙台藩領分は71年の廃藩置県により仙台県となる。72年仙台県は宮城県と改称。76年岩手県に属した気仙郡を除き他の郡は宮城県となる。
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…北は岩手県,北西は秋田県,西は山形県,南は福島県に接する。
[沿革]
県域はかつての陸奥国,明治の分国以後は陸前国の大部分と磐城(いわき)国北部にあたり,江戸時代は仙台藩伊達氏62万石の領地であった。1868年(明治1)奥羽越列藩同盟の盟主となった仙台藩は,戊辰戦争敗北後,新政府によって一時領地を没収された。…
… 1868年(明治1)戊辰戦争に際し諸藩は奥羽越列藩同盟を結んだが,会津戦争に敗れた。新政府は同年12月領地没収などの処分を行うとともに,陸奥国を磐城(いわき)国(現,福島県東部と宮城県南部),岩代(いわしろ)国(現,福島県中・西部),陸前国(現,宮城県中・北部と岩手県南東部),陸中国(現,岩手県の大部分と秋田県北東部),陸奥国(現,岩手県北西部と青森県)の5国に分割した。【渡辺 信夫】。…
※「陸前国」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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