ようかん‐さんじょう ヤウクヮンサンデフ【陽関三畳】
〘名〙 唐の
王維の詩「送
三元二使
二安西一」の
詩句「
渭城朝雨浥
二軽塵一、客舎青青柳色新、勧
レ君更尽一杯酒、西出
二陽関一無
二故人一」を歌う際、三回繰り返して歌うこと。どの句を繰り返すかには
異説があるが、
日本の
詩吟では全詩を歌ってから「無からん無からん、故人無からん、西のかた陽関を出づれば故人無からん」と繰り返す。
※両足院本山谷抄(1500頃)一「陽関三畳は第一句をば維那が一反始ぞ」 〔
蘇軾‐和孔密州五絶詩・見邸家園留題〕
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陽関三畳 (ようかんさんじょう)
Yáng guān sān dié
中国の古典歌曲名。唐の王維の絶句〈元二の安西に使いするを送る〉に基づく。起句の〈渭城の朝雨〉より《渭城曲》,結句〈西の方,陽関を出づれば故人なからん〉から《陽関曲》ともいう。唐朝の絶句を歌う風の一例。別離の歌として早くから有名で白居易(楽天)ら同じ唐代詩人の詩中にその名がみえる。三畳については起句以外の3句を2度歌う,結句を3度歌うなど諸説がある。のち歌詞を前後に付加して琴歌にした。現存最古の《浙音釈字譜》(15世紀)所収のもの以降,十数種あるが《琴学入門》(19世紀中葉)のが最も流行している。これは原詩に若干の歌辞をつけ全体を3度歌うもので,楽調は商調式(レを主音)に属すが途中に転調部分を含む。日本には明僧の心越が江戸初期に琴歌《陽関曲》を伝え,《東皐琴譜》に収めている。筑紫流箏曲の秘伝《陽関曲》も中国琴歌の影響を受けたといわれる。なお1954年,合唱曲にもなった。
執筆者:吉川 良和
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陽関三畳
ようかんさんじょう
Yang-guan san-die
中国音楽の曲名。もとは歌曲,のちに琴曲の代表曲となった。王維の『送元二使安西』と題する「渭城朝雨うるおす軽塵」で始る七言絶句を歌詞とする。送別の際によく歌われたもので,三畳とは繰返し歌うことの意。琴曲に作られたのは宋代と伝えられるが,現存する琴譜では 15世紀末の『浙音釈字琴譜』にみられるのが最も古い。王維の詩に書き足した長い詩によるものもあり,『陽関曲』『陽関』などと題するものもある。
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