障害の有無を問わず、分け隔てなく暮らせる社会の実現を目指し、2016年に施行された。障害を理由とした不当な差別を禁止した上で、障害者の申し出に応じて過重な負担にならない範囲で生活上の困り事や障壁を取り除く「合理的配慮」の提供を国や自治体に義務付けた。民間事業者は努力義務だったが、24年4月に義務化された。事業者の違反に直接的な罰則はないが、改善が困難な場合、国は必要に応じて報告を求め、助言や指導、勧告をする場合がある。
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「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(平成25年法律第65号)の略称。2013年(平成25)6月に制定され、2016年4月に施行。「障害者の権利に関する条約」(2006年12月国連総会採択)を批准するための国内法整備の一環として制定された。2021年(令和3)6月には「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律(令和3年法律第56号)」が公布され、2024年4月に施行された。
法律の目的は、「障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全(すべ)ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資すること」である。法律では、障害を理由とした不当な差別的取扱いを行政機関等と民間事業者の双方に禁じるとともに、障害者への合理的配慮の提供を行政機関等と民間事業者の双方に義務とした。また、合理的配慮の的確な提供のための施設の構造改善や設備の整備などの環境の整備(事前的改善措置ともいう)を行政機関等と民間事業者の双方に対し努力義務とした。合理的配慮の民間事業者に対する義務化は、改正法施行の2024年4月からである。また、障害を理由とする差別に関する相談体制の整備、差別の解消についての啓発活動の実施などを国と地方公共団体に求めている。
法律の附則には、施行後3年を経過した場合において、合理的配慮のあり方や法律の施行状況について検討し、必要に応じて見直しを行うと規定された。この規定による検討の結果として、2021年の法律改正が行われた。
[野口武悟 2024年6月18日]
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