隣保同盟(読み)リンポドウメイ(その他表記)amphiktyonia

改訂新版 世界大百科事典 「隣保同盟」の意味・わかりやすい解説

隣保同盟 (りんぽどうめい)
amphiktyonia

古代ギリシアで,由緒ある神殿を中心として相当数の種族やポリスが結んだ同盟。共同で祭典を主催することが第一の目的であるが,各種の競技なども催されたため,文化や市場の発達にも貢献した。もちろん政治的団結の機能を果たすこともあったが,そこから本格的な政治的結合体へと進むことはなかった。小アジア西岸では,クニドス,コスなど,南部のドリス系6市が,トリオピオン岬のアポロン神殿を中心に6都市連合(ヘクサポリス)を形成し,中部のイオニア系ギリシア人の12都市(ミレトス,サモスなど)が,ミュカレ岬のポセイドン神殿を中心に連合していた。後者はペルシア戦争の前段階(イオニア反乱)で多少の役割を演じた。デロス島のアポロン神殿でも,付近の諸ポリス共同の祭典が催され,詩文にも歌われていたが,ペルシア戦争直後からアテナイがこの神殿を利用してデロス同盟を結成した。ギリシア本土で最も重要なのは,デルフォイのアポロン神殿を中心とするもので,ギリシア北部および中部の諸種族が加盟し,相互不侵略や神殿聖材の護持を誓ったが,紛争はたびたび起こり,違反者を罰する神聖戦争再三行われた。
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百科事典マイペディア 「隣保同盟」の意味・わかりやすい解説

隣保同盟【りんぽどうめい】

古代ギリシア語でアンフィクティオニアamphiktioniaといい,信仰や神殿を通じて結ばれたポリスの同盟。その政治的意義は小さい。最も重要なものはテルモピュライのデメテル信仰に発したデルフォイのアポロン神殿を中心としたもの。
→関連項目フィリッポス[2世]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「隣保同盟」の解説

隣保同盟(りんぽどうめい)
amphiktyonia

「近隣に住むもの(アムフィクティオネス)の同盟」の意で,古代ギリシアの諸国家が,特定の神殿と祭祀を中心として結成した宗教的・政治的同盟。最も有名なのはデルフォイアポロン神殿中心のそれで,宝庫を管理し,競技を主宰するほか,史上4回にわたり「神聖戦争」遂行の主体となった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「隣保同盟」の解説

隣保同盟
りんぽどうめい
amphiktyonia

古代ギリシアで同じ神への信仰をもつポリスが親善・安全保障を目的として結んだ同盟
定期の大祭と競技が行われ,デルフィのアポロン神を中心とするものが最も歴史が古く有名である。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「隣保同盟」の意味・わかりやすい解説

隣保同盟
りんぽどうめい

「アンフィクチオニア」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の隣保同盟の言及

【神聖戦争】より

…古代ギリシアで,デルフォイとその神域を冒瀆した都市に対して,隣保同盟が行った一連の戦争。第1次神聖戦争は前6世紀初め,神域の支配権を主張し巡礼者に課税したクリサKrisaの住民からデルフォイを解放するため行われた。…

※「隣保同盟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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