雌黄(読み)シオウ

デジタル大辞泉 「雌黄」の意味・読み・例文・類語

し‐おう〔‐ワウ〕【雌黄】

石黄せきおう」に同じ。
タイ・ベトナムなどに産するフクギ科植物からとった黄色の樹脂。黄色絵の具として日本画などで用いられる。草雌黄。藤黄とうおうガンボージ
(昔中国で、文字抹消1を用いたところから)詩文改竄かいざんしたり、添削したりすること。

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精選版 日本国語大辞典 「雌黄」の意味・読み・例文・類語

し‐おう‥ワウ【雌黄】

  1. 〘 名詞 〙
  2. せきおう(石黄)」の古称
    1. [初出の実例]「下野国献雌黄」(出典:続日本紀‐文武三年(699)三月己未)
    2. [その他の文献]〔史記‐司馬相如伝〕
  3. ( 古く黄紙に書写した時代、文字に誤りがあるときにはをこれに塗り、改めたところから ) 文章を改竄(かいざん)したり、批評したり、添削したりすること。
    1. [初出の実例]「于時有勅、校正一切経論。往々誤字諸本皆同、莫之能正。和上諳誦多下雌黄」(出典:続日本紀‐天平宝字七年(763)五月戊申)
  4. ( 「藤黄」とも書く ) ミャンマー、タイなどに産するオトギリソウ科の常緑高木から採るゴム状の黄色樹脂。毒性があるが、黄色顔料や水彩絵の具にする。漢名、藤黄。ガンボージ。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕

き‐に【雌黄】

  1. 〘 名詞 〙せきおう(石黄)」の異名

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普及版 字通 「雌黄」の読み・字形・画数・意味

【雌黄】しこう(くわう)

硫黄砒素との化合物。また、加筆訂正すること。〔顔氏家訓勉学〕書定すること、亦た何ぞ容易ならん。揚雄劉向よりして、方(はじ)めて此の(かな)ふのみ。天下の書をること未だ(あまね)からざるに、(みだ)りに雌を下すことを得ず。

字通「雌」の項目を見る

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色名がわかる辞典 「雌黄」の解説

しおう【雌黄】

色名一つ。藤黄とうおうともいう。黄色顔料の雌黄を用いた色のこと。ややみがかった黄色。原料は東南アジア産オトギリソウ科の植物から採取する黄色樹脂。日本画の絵の具にも用いられた。古くは中国で詩などの添削を行うときに雌黄を用いたことから、添削や批評することを「雌黄を加える」といった。

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世界大百科事典(旧版)内の雌黄の言及

【雄黄】より

…化学成分As2S3の鉱物。雄黄という和名は,本来鶏冠石の別称であり,orpimentに対しては,雌黄(しおう)または石黄(せきおう)の名称を使用するのが望ましいとされている。レモン黄色透明で,脂肪光沢,へき開面は真珠光沢をもつ。…

※「雌黄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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