石黄(読み)セキオウ(その他表記)orpiment

翻訳|orpiment

精選版 日本国語大辞典 「石黄」の意味・読み・例文・類語

せき‐おう‥ワウ【石黄】

  1. 〘 名詞 〙 砒素硫化鉱物化学式 As2S3 単斜晶系温泉噴気孔から産し、鶏冠石が変質したものとも見られている。黄色で純粋なものは古くから顔料として知られていた。有毒。古名雌黄雄黄。〔工学字彙(1886)〕 〔唐本草〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「石黄」の意味・わかりやすい解説

石黄
せきおう
orpiment

ヒ素鉱石鉱物の一つ。雄黄(ゆうおう)ともいう。噴気性鉱床、低温熱水性鉱床、温泉沈殿物などとして産し、鶏冠石、輝安鉱、自然砒(ひ)などとよく共存する。自形は単斜柱状ないし板状であるが、普通は土状、塊状、皮膜状などである。日本では北海道定山渓(じょうざんけい)、青森県下北半島の恐山(おそれざん)、群馬県下仁田(しもにた)町西ノ牧鉱山などで知られる。純度が高いものはかつて黄色顔料として利用されていたが、その毒性が明らかになったため、ほとんど用いられなくなった。英名は、ラテン語の黄金色の顔料を意味するオーリピグメントムauripigmentumによる。

加藤 昭 2017年8月21日]


石黄(データノート)
せきおうでーたのーと

石黄
 英名    orpiment
 化学式   As2S3
 少量成分  Se
 結晶系   単斜
 硬度    1.5~2
 比重    3.48
 色     鮮黄
 光沢    樹脂
 条痕    淡黄
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の石黄の言及

【絵具】より

…奈良時代の《絵因果経》に使われた赤色は丹である。黄色には酸化鉄から成る黄土と,ヒ素の硫化物の石黄があり,石黄は,雄黄や雌黄などとも呼ばれ強い毒薬としても使われた。白には白土,鉛白などがあり,白土はカオリンを含む陶土で壁画や木彫彩色など各所に古くから使われた。…

【雄黄】より

…化学成分As2S3の鉱物。雄黄という和名は,本来鶏冠石の別称であり,orpimentに対しては,雌黄(しおう)または石黄(せきおう)の名称を使用するのが望ましいとされている。レモン黄色透明で,脂肪光沢,へき開面は真珠光沢をもつ。…

※「石黄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android