(読み)めす

日本大百科全書(ニッポニカ)「雌」の解説


めす

雌雄異体の生物のなかで、または大配偶子を生産する個体をさす。対語。雌のつくる配偶子は雄のものに比べ、大形で運動を欠くものが多いが、一方で栄養分を多く蓄えていることによって胚(はい)発生を助けている。動物では、卵生、胎生、卵胎生などの違いや胚発生の速度と関連して、種によって卵の大きさに著しい差を生ずる。また、生殖に際しては一般的に受動的な行動を示すが、反面、哺育(ほいく)行動では主要な役割を演ずるものが多い。哺乳類では、雌は繁殖期中に一定の周期で排卵を行い、その際性ホルモンの影響によって発情がおこり、交尾を許容するようになる。また、雄に比べ外形や行動には幼時の特徴が保持されることが多いが、哺乳類の乳腺(にゅうせん)のように、雌でとくに発達する外形的変化も存在する。

[木村武二]

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デジタル大辞泉「雌」の解説

めす【雌/×牝】

動物の性別で、卵巣を持ち、卵や子を産むほう。また、植物で雌花をつけるもの。⇔雄(おす)
雌ねじ。またはコネクターなどの接続部品において、接続部がになっている側(ソケット)。⇔

し【雌】[漢字項目]

常用漢字] [音](呉)(漢) [訓]め めす
〈シ〉
めす。「雌雄
めめしい。女性的。「雌伏
〈め〉「雌牛雌花

めん【雌】

めす。め。「―鳥」⇔雄(おん)
「合いの子の蹴合鳥、―かけると弱いが」〈上司太政官

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精選版 日本国語大辞典「雌」の解説

し【雌】

〘名〙 めす。古くは、鳥類のめす。⇔雄(ゆう)
※太平記(14C後)一三「此剣必ず雄(ゆう)と雌(シ)と二つ有るべし。其雌雄一所に有らざる間、是をで泣者也」 〔詩経‐小雅・小弁〕

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世界大百科事典 第2版「雌」の解説

めす【雌 female】

一般に雌雄異体あるいは雌雄異株の生物において,卵形成をつかさどる卵巣もしくは造卵器をもつ個体をさす。雄の対語。しかし多くの生物は,雌雄異体の場合でも雄の形質と雌の形質を重複してもっているため,生物学的には雌形質を多くもっている個体を雌と呼ぶ。この場合の雌形質とは,卵巣および輸卵管子宮,腟などの付属器官,その他雌に特徴的な外部形態,行動,心理をさす。雌雄の区別は多細胞生物のみならず,単細胞生物や細菌でもみつかっている。

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