古くは女性一般を意味していたが、平安時代以降、「をんな」と次第に交替し、「め」は待遇度が低下して、女性の蔑称として用いられることになった。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
一般に雌雄異体あるいは雌雄異株の生物において,卵形成をつかさどる卵巣もしくは造卵器をもつ個体をさす。雄の対語。しかし多くの生物は,雌雄異体の場合でも雄の形質と雌の形質を重複してもっているため,生物学的には雌形質を多くもっている個体を雌と呼ぶ。この場合の雌形質とは,卵巣および輸卵管,子宮,腟などの付属器官,その他雌に特徴的な外部形態,行動,心理をさす。雌雄の区別は多細胞生物のみならず,単細胞生物や細菌でもみつかっている。例えば大腸菌には,性繊毛という長い器官をもつ個体と,もたない個体がいる。性繊毛をもつ方を雄菌,もたない方を雌菌と呼ぶ。雄菌は性繊毛を橋渡しとして雌菌と接合し,自己の染色体や細胞質中のF因子と呼ばれる環状DNAを送り込む。その結果,遺伝子の組換えを行い,遺伝的な変異性を作り出している。同様に多細胞生物は,受精を介して種々の遺伝子の組合せの子孫を生じさせる。以上から一般に生物は,細胞どうしの接着を介して遺伝的組換えを行うことになり,遺伝子を受け取る個体もしくは受け取る細胞(卵)をもつ個体を雌と定義できる。
自然界においては,単為生殖によって新個体を増やすことが可能なのは雌のみ(例,アリ,ハチ)であり,また雌だけで種を保存している生物(例,関東地方のギンブナ,アマゾンモーリーなど)も知られている。下等な動物には雄が雌に寄生している例がある。また哺乳類の場合,遺伝的な雄であっても,雄性ホルモンの分泌を抑えると雌性の生殖器官が発達してくることなどから,雌雄性の基本は雌型だとする説がある。生物学では符号♀で表す。これは女神ビーナスの手鏡の形に由来するといわれている。
→雄
執筆者:島田 義也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
雌雄異体の生物のなかで卵、または大配偶子を生産する個体をさす。雄の対語。雌のつくる配偶子は雄のものに比べ、大形で運動性を欠くものが多いが、一方で栄養分を多く蓄えていることによって胚(はい)発生を助けている。動物では、卵生、胎生、卵胎生などの違いや胚発生の速度と関連して、種によって卵の大きさに著しい差を生ずる。また、生殖に際しては一般的に受動的な行動を示すが、反面、哺育(ほいく)行動では主要な役割を演ずるものが多い。哺乳類では、雌は繁殖期中に一定の周期で排卵を行い、その際性ホルモンの影響によって発情がおこり、交尾を許容するようになる。また、雄に比べ外形や行動には幼時の特徴が保持されることが多いが、哺乳類の乳腺(にゅうせん)のように、雌でとくに発達する外形的変化も存在する。
[木村武二]
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