青天白日(読み)セイテンハクジツ

デジタル大辞泉 「青天白日」の意味・読み・例文・類語

せいてん‐はくじつ【青天白日】

よく晴れ渡った天気
心にいささかも後ろ暗いところがないこと。「青天白日心境
無罪であることが明らかになること。「青天白日の身となる」
[補説]「晴天白日」と書くのは誤り。

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精選版 日本国語大辞典 「青天白日」の意味・読み・例文・類語

せいてん‐はくじつ【青天白日・晴天白日】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 青く晴れわたった日和(ひより)快晴の天気。
    1. [初出の実例]「石壁暗しといへ共青天白日の如く也」(出典:太平記(14C後)二八)
    2. 「忽地例の神風に、吹はらふたる晴天白日(セイテンハクジツ)」(出典:安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二)
    3. [その他の文献]〔韓愈‐与崔群書〕
  3. 心にくもりがないこと。心につつみかくすことがないこと。やましいことがないこと。
    1. [初出の実例]「白日といへば明々白々の義ありて青天白日など云ふ義となり」(出典:授業編(1783)七)
    2. 「若しや私が此う云ふ秘密を持たず、云はば青天白日の身であったら」(出典:あめりか物語(1908)〈永井荷風〉岡の上)
    3. [その他の文献]〔朱熹‐答魏元履書〕
  4. 無罪が明らかになること。
    1. [初出の実例]「千八百四十八年の騒乱に及び始て青天白日の期に遇ひ」(出典:西洋事情(1866‐70)〈福沢諭吉〉二)

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四字熟語を知る辞典 「青天白日」の解説

青天白日

青く晴れわたったより。転じて、心にやましいと感じることがない状態。特に、無実だと明らかになり、晴れ晴れとした状態。

[使用例] イヤよほど心配しましたが、これで青天白日ようよう無罪になりました[石川啄木*雲は天才である|1906]

[使用例] いつもウィスキー洋盃コップかたむけようかと思ったが、遂にその決心に堪えなかった。彼は青天白日のもとに、尋常の態度で、相手に公言し得る事でなければ自己のまことでないと信じたからである[夏目漱石*それから|1909]

[使用例] 彼はにわかに晴天白日の身になったと感ぜられた。故人は死んだ後までも、章三郎に恵みを垂れているらしかった[谷崎潤一郎*異端者の悲しみ|1917]

[解説] 「青天白日」(晴天白日)は、文字どおりには、晴れた空と明るい太陽のこと。唐代の詩人かんの「さいぐんに与ふる書」という文章に出てきます。
 崔群は韓愈の友人。ある人が「崔群はたしかに立派な人だが、みんなが彼をほめるのは変だ」と言ったのに対し、韓愈は、「変ではない」と反論します。
 「ほうおうそう(=キノコ一種)は、誰もがめでたいものと認めている。また、青天白日は、奴隷さえもその晴れやかさを知っている」
 つまり、青空や明るい太陽が晴れやかなのが当たり前であるのと同じく、崔群が立派なのは一目瞭然で、皆がほめるのも当然だ、ということです。
 「青天白日」は、[それから]の例のように「青天白日のもとに(=はっきりと)公言する」のような使い方もありますが、古風です。現代語では特に、「青天白日の身になる」の形で、無実が明らかになった場合などに使います。韓愈の文章の意味から微妙に変化しています。

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