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音名(読み)おんめい(英語表記)pitch names

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

音名
おんめい
pitch names

音組織中の各音に与えられた固有名。1オクターブごとに回帰し,点,ダッュなどの記号を付加することによって絶対音高が示される。階名が,音階のなかで主音との音程によって決められた相対的音高表示であるのと対照的である。近代西洋音楽では,440 c/s を1点とすることが一応採択されている。日本では,最初中国の音名を直輸入していたが,その後日本の音名が使われるようになり,中国の黄鐘 (こうしょう) は日本の壱越 (いちこつ) とされ,現在壱越を「」音に統一している。また日本の黄鐘 (おうしき) は「イ」音を表わす。派生音名のつくり方は,日本では幹音名の頭に「変」または「嬰」の字を付する。日本の古典楽では,十二律の音名のほか,三味線では四本 () ,六本 (ニ) などという表わし方もある。

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デジタル大辞泉の解説

おん‐めい【音名】

一定の振動数をもつ音に与えられた音楽上の固有の名称。オクターブごとに同じ名称を繰り返す。日本の「ハニトイ」、イツの「CDEFGAH」など。→階名

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百科事典マイペディアの解説

音名【おんめい】

ある音組織の中に含まれる音を,音高(音の高さ)について相互に区別するためにつけられた音の固有名。西洋音楽の場合,日本では,ハニホヘイロを用い,英米ではcdefgabを用いる。伝統邦楽はジャンルによって呼び方が異なるが,近世邦楽では管楽器の長さによって,音の絶対的な高さを区別している。→階名十二律ソルミゼーション

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世界大百科事典 第2版の解説

おんめい【音名】

音楽上,音の高さを呼ぶための名で,音組織内の各音には一定の振動数が定められており,それぞれ固有の名で呼ばれている(図)。
[西洋]
 現在,西洋音楽に用いられている音名は,ほとんどが11世紀にグィード・ダッツォが体系づけたものを基礎としており,アルファベットによって音高を表し,オクターブごとにこの名が繰り返される。オクターブの違いを表す方法にはいろいろあるが,ヘルムホルツの考案(1865)によるものがいちばん多く使われている。

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大辞林 第三版の解説

おんめい【音名】

音楽の素材である個々の音の絶対的な高さを表す名称。西洋音楽では、通常 CDEFGAB (日本訳はハニホヘトイロ)の七文字およびそれらの嬰変により表し、中国および日本の音楽では、十二律その他の名称を用いる。 → 十二律じゆうにりつ階名かいめい

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

音名
おんめい

音組織中の各音を音高から決定した固有名。階名が音階のなかでの相対的音高を表すのに対し、音名は振動数による絶対的音高を表す。
 中国、日本には漢字音名である十二律が伝わる。これは三分(さんぶん)損益法により周代末より求められ、16世紀明(みん)代に名称が確定した。基音の音高は各時代によって異なるが、現在では黄鐘(こうしょう)がD音にあたるとされている。わが国には735年(天平7)吉備真備(きびのまきび)が『楽書要録』を持ち帰って伝えたといわれるが、その後平安後期に新たに日本式名称が定められ、現在の形に整えられた。日本では中国の黄鐘を壱越(いちこつ)と称している。そのほか、地歌や義太夫(ぎだゆう)など三味線音楽では一本、二本……とよぶ調子笛の番号が、尺八音楽では(一尺八寸管の場合)指孔譜のロツレ……が、それぞれ十二律にも該当する。これらは流派内の名称ではあるが、絶対音高を表し、音名に準ずるといえよう。
 西洋音楽の音名は2大別される。イギリス、ドイツでは幹音にアルファベットをあてはめて表す。これはギリシアの2オクターブにわたる音名、ABCDEFG・HIKLMNOPに由来し、10世紀ごろからオド・ド・クリュニーOdo de Cluny(879?―942)によってCを初音とされた(オドの音名)。その後、中世最大の理論家グイード・ダレッツォGuido d'Arezzo(992ころ―1050?)がオクターブごとに文字を繰り返す現在の表記をほぼ完成した(グイードの音名)。また彼はヘクサコードの階名、ut、re、mi、fa、sol、laも制定し、これに第7音siを加えたものが現在イタリア、フランスの音名となっている。
 日本では明治以後イギリス式音名を手本に、いろは文字による音名が考案された。これはハ長調、イ短調などという調名の表記に役だっているが、音名唱法ではイタリア、ドイツの音名をそのまま使う。これら西洋式音名(とくにアメリカ科学式)はその合理性から、楽譜を伴わない民族音楽の音高表示にもしばしば用いられる。[橋本曜子]

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