食品廃棄物の排出抑制や資源としての有効活用を促進する法律。大量生産・大量消費社会から循環型社会への転換を促す目的で、食品会社、小売り、外食など食品を扱う全事業者に食品廃棄物の減量、リサイクル、熱回収などの促進を求めている。とくに食品廃棄物の年間発生量が100トン以上の大規模事業者にはリサイクル率(再生利用実施率)などの報告を義務づけ、取り組みが不十分な場合には、企業名の公表や罰金などの厳しい措置をとる。
正式名称は食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成12年法律第116号)。日本では売れ残りや食べ残しなどの食品廃棄物は年間約1000万トンに上り、一般廃棄物の2割強を占めていた。このため2001年(平成13)に食品リサイクル法を施行。リサイクルの定義を飼料、肥料、油脂・油脂製品、メタンへの再生、脱水などによる減量と定め、実際の廃棄物のうち、一律20%をリサイクルするという目標達成を目ざした。しかしコンビニエンス・ストアなどの小売業や外食産業ではリサイクル率が依然低く、2007年に改正法を施行。炭化製品(燃料および還元剤)やエタノールへの再生もリサイクル対象に加えた。また、再生施設が近く(半径75キロメートル圏内)にない場合などに、廃棄物を燃料として活用する熱回収も認めた。
ごみは原則発生した市町村で処理し、域外持ち出しは廃棄物処理法で厳しく制限されている。しかし店舗の食品廃棄物から飼料や肥料をつくり、これで育てた肉や野菜をふたたび店舗で売るリサイクルループ(再生循環)を達成した場合、改正法は広域からの食品廃棄物の収集を認めた。改正法は大規模事業者に対し食品廃棄物の量やリサイクルの状況などを毎年度、国に報告することを義務化した。また、従来一律20%だったリサイクル率を、前年度の達成状況に応じて各事業者ごとに設定する方式に変更した。第1回目の報告は2009年4月から6月に行われた。
[編集部]
(池上甲一 近畿大学農学部教授 / 2008年)
(杉本裕明 朝日新聞記者 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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