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食道、胃、腸のおもな症状 しょくどういちょうのおもなしょうじょう

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家庭医学館の解説

しょくどういちょうのおもなしょうじょう【食道、胃、腸のおもな症状】

◎腹痛
◎食欲不振
◎便秘(べんぴ)
◎下痢(げり)
◎吐血(とけつ)と下血(げけつ)

◎腹痛
 腹痛は、ふつう内臓痛、体性痛、関連痛の3つに分けられます。
●内臓痛(ないぞうつう)
 胃炎、胆石症(たんせきしょう)、腸炎などでおこる痛みで、およその部位はあっても腹部全体に感じます。七転八倒するほど痛むこともありますが、しばらくすると自然におさまります。痛みの部位があいまいに感じられるのは、痛覚が内臓神経などの交感神経によって伝達されるためです。
●体性痛(たいせいつう)
 消化管穿孔(せんこう)、虫垂炎(ちゅうすいえん)(盲腸炎(もうちょうえん)は俗称)、腹膜炎(ふくまくえん)など、腹膜に炎症がおよんだときに感じる痛みで、痛む部位がはっきりしています。痛みは強く持続的で、からだが動かせないほど痛み、自然におさまることはありません。
●関連痛(かんれんつう)
 強い内臓痛が皮膚筋肉に投影されたもので、実際には遠い場所でおこった痛みをまったく別の場所の痛みとして感じることもあります。
 腹痛をおこす原因となる疾患にはいろいろありますが、強い腹痛をおこすおもなものを(図「強い腹痛をきたす疾患」)に示します。
 なお、消化器の痛みは、つぎに述べるように、食事と関係のあることがよくあります。
 空腹時痛(くうふくじつう) 空腹になると、心窩部痛(しんかぶつう)(みぞおちのあたりの痛み)を生じ、食事をすると痛みが和らぐものです。これは胃液の分泌過多(ぶんぴつかた)によって胃壁が直接刺激されたり、胃に収縮がおこって生じる痛みです。食事をとると胃液が中和されて痛みは軽快します。潰瘍(かいよう)、とくに十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)による痛みがこの痛みの例です。
 食後痛(しょくごつう) 食後すぐにおこる心窩部痛で、食道炎や急性胃炎などでみられます。また、油っこいものを食べた後の痛みは胆石症などの人にみられます。
 夜間痛(やかんつう) 夜間、就寝中に心窩部痛をおこすものです。これも一種の空腹時痛で、夜間の胃液分泌が亢進(こうしん)している場合におこります。胃潰瘍、十二指腸潰瘍などでみられます。

◎食欲不振
 食欲にかかわる中枢(ちゅうすう)は視床下部(ししょうかぶ)という脳のもっとも深い部分にあります。
 空腹感は、胃の飢餓(きが)収縮(胃の内容が空(から)になるとおこる収縮)と血糖(けっとう)の低下を視床下部の摂食中枢(せっしょくちゅうすう)が感じとることで生じ、続いて食欲がおこります。食事をとって満腹になると、胃の緊満と血糖の上昇を、同じく視床下部の満腹中枢(まんぷくちゅうすう)が感じとります。
 摂食中枢は視床下部の外側にあり、ここが破壊されると拒食となり、また、ここを刺激されると満腹状態でも食べ続けます。逆に、視床下部の内側にある満腹中枢は、破壊されると過食をおこし、刺激されると空腹状態でも食事をとらなくなります。
 なお、食欲は大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)(視床下部より外側にある人間の行動全般を調節している部分)にも影響されています。ここを通過する神経刺激が、感情的、精神的な要因によって視床下部や脳下垂体前葉(のうかすいたいぜんよう)にうまく伝達されないと、神経の調節が障害され、まったく食欲がわかなくなります。これが神経性食欲不振症(しんけいせいしょくよくふしんしょう)です。
 食欲不振をおこす原因はたくさんありますが、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎などの消化器病によるものがもっとも多くみられるものです。また薬剤、とくに鎮痛薬(ちんつうやく)や抗生物質もしばしば食欲不振の原因となります。
 そのほか、急性肝炎インフルエンザなどの感染症、胃がんなどの悪性腫瘍(あくせいしゅよう)、そして神経性食欲不振症も食欲不振の原因疾患です。

◎便秘(べんぴ)
 正常な便通は毎日1回、通常は朝にみられます。
 ところが、人によっては1日2~3回のことも、1日おきのこともあります。それでとりたてて苦痛がなく、それなりに規則正しい便通があって、とくに健康障害がなければ問題はありません。
 便秘というのは、排便回数が減って便のかたさが増し、ふつう3日以上排便がなく苦痛を感じるものをいいます。
 便秘には、大きく分けて一過性便秘と常習性便秘があります。
●一過性便秘(いっかせいべんぴ)
 食物の変化、生活環境の変化、精神的緊張などによって一時的におこる便秘で、旅行、試験などのストレスを受けたときにしばしば経験されるものです。
●常習性便秘(じょうしゅうせいべんぴ)
 腸管運動の低下による弛緩性便秘、腸管運動亢進(こうしん)によるけいれん性便秘、習慣性便秘(直腸性便秘)の3つに分けられます。
 弛緩性便秘(しかんせいべんぴ) 高齢者に多く、腹部膨満感(ぼうまんかん)、もたれ感、胸やけなどの症状がみられます。
 けいれん性便秘 結腸に生じる持続的けいれんによるものです。便秘と下痢(げり)をくり返す過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)にみられ、左側や下腹部の腹痛をともなうのがふつうで、神経質な性格、ストレスの多い職業に多い型です。
 習慣性便秘 直腸に糞便(ふんべん)が長時間とどまったためにおこるもので、便がかたくなります。高齢者や便意を抑制する習慣をもつとおこりやすく、サラリーマンやOLにもよくみられます。

◎下痢(げり)
 下痢は糞便(ふんべん)中の水分量が多くなった状態です。下痢をおこすしくみには、水分の吸収障害、腸液分泌(ちょうえきぶんぴつ)の亢進(こうしん)、腸管運動の亢進の3つがあります。ふつうは、この3つが同時にかかわっておこることが多いものです。
 水は小腸(しょうちょう)で1日5~10ℓ、大腸では1日1~2ℓが吸収されます。ところが、腸管内に吸収の悪い塩類や食物が入ってくると、腸管は多量の腸液を分泌し、そのために便がやわらかくなったり、下痢便になるのです。とくに大腸は水の吸収量が少なく、1日2ℓを超える水が大腸に入ってくると下痢をおこします。
 下痢には急性のものと慢性のものがあります(コラム「下痢の分類とその原因疾患」)。急性下痢(きゅうせいげり)の大多数は感染症(食中毒)、食物アレルギー、食べすぎによっておこるもので、数日で自然に治るものがほとんどです。
 これに対し、1か月以上、ときには1年以上も続いたり、反復して現われる下痢が慢性下痢(まんせいげり)です。原因のほとんどは、コラム「下痢の分類とその原因疾患」に示すような疾患です。

◎吐血(とけつ)と下血(げけつ)
 消化管内で出血がおこると、吐血または下血がみられます。
 吐血は十二指腸より口側の上部消化管からの出血でみられ、新鮮血を吐(は)く場合と、コーヒー残渣(ざんさ)のような黒っぽい血を吐く場合とがあります。真っ赤な血を吐くのは食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう)の破裂や胃潰瘍からの動脈性出血によることが多く、黒っぽい血を吐くのは胃にたまった出血が胃酸で黒く変色したためです。
 下血は、血便(けつべん)とイカ墨(すみ)のように黒いタール便(べん)とに分けられます。血便は下部消化管からの出血によるもので、出血部位が肛門(こうもん)に近いほど赤みは強くなります。タール便はふつう上部消化管の出血が原因です。
 このような消化管出血をおこす原因疾患は、(図「消化管出血をきたす疾患」)に示すように、たくさんの種類があります。
 上部消化管からの出血でもっとも多いのは胃・十二指腸潰瘍によるもので、食道静脈瘤やびらん性胃炎、胃がんによる出血がそれに続きます。何度も嘔吐(おうと)することで食道と胃の接合部の粘膜が裂けるマロリー・ワイス症候群によることも少なくありません。
 下部消化管出血のおもな原因は感染性腸炎と、クローン病や潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)のような炎症性腸疾患です。ほかに血管障害、大腸憩室(だいちょうけいしつ)、大腸ポリープや大腸がんといった疾患もあります。
 新鮮血の下血は痔(じ)によることが少なくありませんが、大腸の検査を定期的に受けることがたいせつです。

出典|小学館
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